《めてみみ》誰に何を

2019/04/19 06:20 更新


 「52週MDやシーズンMDが通用しなくなった」とよく聞く。要因の一つは、想定以上の気温の変動だろう。いったんは暖かくなったが、冬に戻ったような気候だった今春。2月は活発だった春物ファッションが3月に入って鈍った地域や商業施設があった。「2月は先行買いで盛り上がったが、3月は実需客が動かなかった」とある施設担当者は話す。

 思い通りにならないのは気温だけではない。複雑とも思える購買行動や地域差もある。購買行動の複雑化の一例は、セール期の正価販売比率の向上だ。供給側が仕掛けたことも後押ししているが、セール品と正価品を買い回る購買行動はずいぶんと一般化してきた。

 地域差も大きい。都心部ではヤング主体のブランドと認知されているブランドが、地方都市の郊外型SCで都心部と遜色なく売り上げる。「顧客層がミセス層まで広がっているから」という。対象客層の人口の厚みが違うから、都心同様のMDで売り上げを伸ばすことは難しい。

 ブランディングの観点から〝標準MD〟は欠かせない。しかし、「誰に何を」がMDの基本とすれば、Aタイプ、Bタイプといった顧客層別のMDや地域性を加味したMDの構築が求められているのではないか。手間が増えるが、52週という期間を軸にしたMDだけでは対応しきれなくなっているのだから。



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