サステイナブル(持続可能性)をめぐる動きが活発だ。昨年はH&Mやナイキなど大手企業13社が、25年までにサステイナブルに生産された綿を100%使用すると発表。今年はアディダスがポリエステルについて新品の使用を禁止、24年までに全て再生品に切り替える方針を打ち出した。日本でも素材メーカーを中心に、サステイナブルな合繊や天然繊維を揃えている企業は多い。
欧米の動きに追随するように、日本国内でもサステイナブル素材を求める声が上がってきたという。しかし、価格面では引き続き厳しいオーダーが多いともいう。当たり前だが、従来とは異なる製法、原料で作られ、様々な認証取得にも費用がかかる。全体の受注量もまだ少なく、折しも原材料の高騰も進む昨今。リーズナブルに…とは、なかなかいかない。
取材を通して、メーカーからは「取り組み型で販売していく」という言葉をよく聞いた。価格はもちろん大事だが、それ以上に素材の持つ意義、価値をしっかり分かってくれる企業と組みたいのは、メーカーにとって本音だろう。
労働環境や素材調達にもサステイナブルであることが求められる時代だ。サステイナブルな素材を使う前に、ビジネスをまず持続可能なものにしなければ、日本のファッション産業は世界的な潮流に取り残されるかもしれない。