経済産業省は国内小売業販売(サービス消費を除く)の基調判断を「横ばい」から、「緩やかに持ち直している」に上方修正した。小売業販売額の指数が8、9月ともに前月を上回ったためだ。
繊研新聞社が四半期ごとに実施している景況アンケート調査によると、10~12月のファッション消費が「良くなる」と回答した企業が前回調査に比べて大きく増えた。7~9月は西日本豪雨や台風、北海道胆振東部地震と災害が相次ぎ、被災地の消費に大きな影響があった。しかし、その要素を除くと消費全体は堅調で、衣料品も猛暑の効果で夏物が活発に売れた。予断は許さないが、今後は「災害がなければ上向く」との見方が多い。
懸念材料は来年10月からの消費増税だ。14年4月の税率5%から8%への増税の際は回復基調にあった景気が腰折れし、ファッションビジネス業界にも大きな影響を与えた。東京商工リサーチが9月に実施したアンケート調査(有効回答8298社)では、増税で「景気が悪くなる」と回答した企業が57.8%に達した。
政府は軽減税率の導入やプレミアム商品券の配布の検討などで、増税の影響が出ないように対策を打つという。しかし、現時点では不透明な内容が多い。行政の後押しはもちろん必要だが、企業は増税を跳ね返す需要喚起策に知恵を絞らなければならない。