《めてみみ》中国の景気下支え

2018/09/19 06:24 更新


 19年1月1日に中国の個人所得税法が7年ぶりに改正される。総合所得の税率は、改正前の賃金・給与所得と同じ7段階に分かれているが、課税所得が月額1500元以下から8万元超だったのが、月額3000元以下から8万元超に変更される。最も税率の低い1等級の課税所得が引き上げられたのは、この間の賃金上昇に配慮したためと考えられる。

 もう一つの大きな変更は費用控除額が月額3500元から5000元になったこと。特定項目付加控除として子女教育、医療費、住宅ローン金利、住宅家賃、高齢者扶養支出が新設された。月額2万5000元以上の人の税率は変わらない。それより低い、いわゆる中間層は税率が下がる。施行は19年1月1日だが、10月1日~12月31日から基礎控除を5000元に、新たな税率で納税額を算出するとして事実上、前倒しで減税が実施される。

 統計局が発表した1~8月の都市部固定資産投資は5.3%増と過去最低、インフラ投資も4.2%増と1~7月の5.7%増から1.5ポイント低下した。投資減速が止まらない。米中貿易摩擦などで景気悪化懸念が広がっているとして、政府は7月下旬に景気の下支えに舵(かじ)を切ったとされる。そのためか、上海市内でも道路工事を目にするようになった。所得税法の改正が発表されたのは8月末だった。



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