《めてみみ》食べかけのゴミ

2017/08/29 04:00 更新


 この時期、取材で歩く原宿や表参道辺りの人出がぐっと多くなる。夏休みで訪れる人が増えるからだ。台湾かき氷の店には相変わらず長蛇の列ができているが、一時すごく並んでいたパンケーキの店の列は落ち着いている。

 一方、例年より行列が増えたのが「インスタ映え」する食べ物を売る店。色鮮やかなわた菓子とか、シーズン限定の果物を使ったスイーツやら、写真投稿サイトに上がった数だけ、次の客が呼べるわけで、店側も力を入れている。

 ある海外SPA(製造小売業)の展示会に取材に行ったら雑誌や業界紙などメディア側の人間より、読者モデルやSNS(交流サイト)で影響力があるとされる人々の数の方が多かった。

 そのSPAは毎回、シーズン商品の展示会を実売時期のほんの少し前に開くのだが「インフルエンサーがアップした展示会の写真が呼び水になって来店客数が劇的に増える」ので、影響力のある人を呼ぶ数を増やしているという。

 個人が私的に撮ったり、書いたりしてネットに上げた内容が旧来型のメディアに代わっていろいろな商売にダイレクトに影響を及ぼす時代になったことは確からしい。食べかけや飲みかけのまま、撮影済みの食べ物の容器が自動販売機横やコンビニ前のごみ箱の口からぎゅうぎゅうになってはみ出しているのを見ながら、そう思った。



この記事に関連する記事