《めてみみ》地元の魅力

2017/08/28 04:00 更新


 独身時代は帰宅前に本屋に立ち寄ることが多く、面白い本に出会うとよく衝動買いをしていた。この夏、最寄り駅前の本屋が閉店して寂しい。先日も街の本屋が減っていると一般紙に書かれていた。だが、洋服屋(地方の個店)の現状はそれ以上なのでは。郊外の大型商業施設の乱立にはじまり、インターネット販売の影響など消費動向の変化が大きい。

 今、生き残っている個店は地元の人に喜ばれるような街の魅力作りに地道に取り組んでいる。モードを扱う店などは以前なら閉鎖的で敷居が高いイメージだったが、今では花火大会の観覧から餅つき、フリーマーケットの開催まで親しみやすく開放的でさえある。

 地域貢献に意欲的な個店も目立つ。被災地の復興支援のため商店街と連携し物販による寄付活動をしたり、財政難に陥った地元のプロサッカーチームを支援したり、植え込みの花を毎週手入れしたり、音楽イベントで街のにぎわい創出に尽力したりと多彩だ。こうした活動を続けることで地元での信頼・信用も高まり、人材確保にもつながるという。

 モノの売り買いだけならECで十分かもしれない。個店は作り手の思いをリアルに伝え、カルチャーを発信し、人と人をつなげる場でもある。用事がなくてもフラッと立ち寄れる店が身近なら、普段の生活がもっと楽しくなりそうだ。



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