《めてみみ》未来予想図

2017/08/04 04:00 更新


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 夢は何だったろうか。日々、あくせくするうちに、持っていたはずの夢を忘れてしまった。仕事上のつきあい、友人を含め、〝老い〟の話はあっても、夢を語りあうことはなくなった。人口減少、高齢化、衣料消費の停滞基調などが指摘されるなか、〝明るい夢〟を描くのは、それこそ夢の話なのかもしれない。

 先日、創業10年ほどの中小企業の社長から「100年ビジョン」を聞いた。目指す姿を一言で表すなら「一貫した物作り」。今、日本製の品質が評価されるが、従業員の高齢化が進む縫製工場で永続的な日本製の品質の維持・向上が可能だろうかと問う。

 分業、アウトソーシングが当たり前の業界で、「責任ある物作り」による商品価値の提供のために取るべき手法とは何なのか、とも。こうした課題を考えると、自ら作り、売るという結論にたどり着いた。思い描くのは、焼きたてパンを提供する街のパン屋さんのような姿だ。

 「100年後にも縫製で生計を立てる人たち」が日本で活躍していることも想定する。これらはビジョンの一部に過ぎないが、ビジョン=夢の実現に向け、10年後、30年後のあるべき姿も描く。子供の頃、遊んでいた川や海は透明ではなかったが、今はずいぶんときれいになったと思う。将来を見据え、一歩ずつでも前進することで、未来は変わっていくと信じたい。



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