8年ぶりの上海生活が始まった。前回は北京五輪を挟んだ2年間。中国は、どこへ行っても活気に満ちあふれていた。上海も万博を控え街中で地下鉄、高層ビル新築の工事が行われていた。
生活を始めて気付いたのはスーパーやコンビニエンスストアの買い物で現金を払っている人が、ほとんどいないこと。若者はもちろん、中高年までスマートフォンのアプリを使って支払っている。前回の駐在中にはデビットカードでの支払いが主流になりつつあったが、今やデビットカードで支払っている人を見ることはほとんどない。
生活のいたるところにスマホが入り込んでいる。通勤電車の中でニュースやドラマを見たり、ゲームに興じる光景は日本と同じだ。驚いたのは、住居の近所にある昔ながらの屋台だった。調理をする女性の手元にあるスマホには、次々と注文が入ってくる。それを屋台に並んでいる人たちの注文をこなしながら作っていく。そして、やはりスマホのアプリで呼んだ宅配業者に託して近所に配達していた。
世界中から最新のものが入ってきて、伝統的な生活の中に溶け込んでいく。これは変わらない光景だが、そのスピードは増していると感じた。この新旧が共存する世界をどう取り込むかが、中国ビジネスには求められている気がした。