松本衣デザイン専門学校が閉校 84年の歴史に幕

2021/03/30 06:30 更新


 松本衣デザイン専門学校(長野県松本市)は3月31日に閉校し、84年の歴史に幕を下ろす。閉校式は行わず、2月末から3月上旬に校舎を開放し、模擬授業や学生作品の展示、産学協同授業の結果発表などを実施した。同イベントの1週間の会期中に、同窓生や関係業者、学生の家族や友人など約300人が来校して盛況だった。

 同校は1937年に旧満州(現在の中国東北部)で、青葉洋裁研究所として創設。第2次世界大戦終戦後、松本に移転して再開。89年に松本衣デザイン専門学校に名称を変更した。「洋裁学校は花嫁修業の場という意識をなくし、デザイン教育により実学と実技に基づく人格形成を行い、女性が自立して生きる力を養う」という新たな教育方針を掲げて再スタートした。

 93年にミラノのセコリ校と国際姉妹校提携を結び、学生の視野を広げる試みとして海外留学を積極的に推進。95年から20年間で欧州に15人を送り出し、東京など都市部への就職も奨励。検定試験での合格率と就職率向上に取り組み、就職率は毎年ほぼ100%で推移。全国的な服飾デザインコンクールでも、70~90年代は多くの入選・入賞者を出し、地方にありながら存在感のある専門学校だった。

 高度専門士を育成する4年制の新設、職業訓練実践専門課程の認定など、高度な専門教育を実施。SDGs(持続可能な開発目標)など毎年、国内のファッションや社会の時流を反映した授業内容を考え、少人数制の対面教育により同校の教育目標を実践してきた。しかし時代の変遷とともに従来の手法では目指す教育が困難になったと判断し、4年前に閉校を決め、19年度から学生募集を停止していた。

 閉校後は同校事務局兼青葉同窓会の拠点として、県内の穂高駅の近くに青葉文庫を設置する。同校の記録や蔵書を所蔵する同窓生のサロン的な場として、5月に開設する予定だ。

閉校行事として1週間開催した「展示ラボファイナル」では模擬授業も行って盛況だった


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