17年9月にイオンモール松本が開業してから3年が経過した長野県松本市。JR松本駅から東に1.5キロの中心部の近接地に、延べ床面積9万7000平方メートルの県内最大級の大型SCが登場した影響は大きく、中心市街地の既存商業施設は客数と売り上げが減少した。3年経ってすみ分けが進み、復調の兆しが見えてきた矢先にコロナ禍で、既存施設は再び浮上の機会をうかがっている状況だ。一方、イオンモール周辺では通行量が増え、新規出店が目立つ商店街もある。中心部で競合する二つの大型店と商店街、行政が共同で来街促進の販促を行う動きも出ており、地域一体での市街地活性化の取り組みが注目される。
松本は長野県の中心に位置し、旧城下町として古くから交通や文化、経済の要衝。市の人口は24万人強で、隣接する安曇野、塩尻の3市を合わせると約40万人。信州大学をはじめ市内に大学・短大、専門学校が16あり、年齢バランスが取れ、人口の増減が少ない安定した地方都市だ。
18年の県の商圏調査報告によると、「吸引力係数」が約142%で居住人口を上回る集客力があり、商圏人口は61万5485人で3年前より4.6%増加。長野市と同水準まで商圏人口が伸びている。また、年間500万人規模の観光客が訪れる活気のある街だ。
広域集客に成功
イオンモール
長野県に初めて出店したイオンモール松本は、映画館も備える3棟編成の大型SC。イオンリテールのイオンスタイルを核店舗に約170店を揃える。松本城に近い立地で飲食の比率が高く、観光客も利用しやすい滞在型などのテナントが充実している。同じタイプの競合がいない地域への出店だったため、想定より広域からの集客に成功。車で1時間の大町市や長野市、諏訪市や伊那市などから高速道路を使って来るハウスカード会員もおり、非日常使いのハレ型の利用者が多いのが特徴だ。
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