京都もインバウンド需要が回復 河原町周辺のファッション店での買い方は変化

2023/06/21 15:00 更新


欧米人の来店・購買も増えた寺町京極商店街

 京都でインバウンド(訪日外国人)需要が回復している。河原町周辺にあるファッション系の店舗は、3月頃からインバウンド売り上げの伸びが顕著になり、中にはコロナ前を上回るところも出始めた。今のところ〝爆買い〟は見られず、自分が欲しい物を吟味して買う場面が目立つ。このため、国内客とインバウンドどちらも以前より自然な形で狙いやすくなった。積極的な接客アプローチも重要性は増している。

欧米人が服も買う

 寺町京極商店街にある「アーバンリサーチKYOTO」は、3月から増え始めたインバウンド需要が4、5月も伸び続けている。国・地域別では台湾や韓国、中国に加え、欧米が目立つ。「かつては国産のうちわや扇子などの雑貨を買っていた欧米人が、服も買うようになったのが今回の大きな変化」と捉えている。

積極的な接客アプローチでインバウンドの購買を伸ばす「アーバンリサーチKYOTO」

 店としてもインバウンドの回復を好機ととらえ、声かけをはじめとした接客に意欲的に取り組んでいる。「失敗を恐れずに話しかけ、会話を楽しんでもらおう」と、本部から配備された翻訳ツールもなるべく使わずに直接やり取りし、外国人客との距離感を詰め、テンポの良い会話を繰り広げている。こうした取り組みが結果を生み、インバウンド売り上げは平均30%前後で推移している状況だ。

 店頭では「フライターグ」が特に女性に好評なほか、別業態の「ザ・グッドランド・マーケット」から取り寄せた商品が人気など、「サステイナブル(持続可能な)意識が高い」と見る。

 22年7月の大幅リニューアルで、意識した女性をはじめとした国内の地域客へのアプローチについても、予想以上に手応えが広がっている。「インバウンドの買い方が変わり、国内客目線の品揃えや店作りでも、インバウンド需要を取り込みやすくなった。その上でインバウンドに合うコンテンツもプラスしている」と話す。

ブランド古着人気

 インバウンドに古着も人気だ。「古着屋JAM」の京都四条店と京都三条店は、4、5月とインバウンド売り上げが大きく伸びている。売り上げの約20%を占め、コロナ前を上回る勢いだ。

古着も人気がある(古着屋JAM京都四条店)

 アジアからの客はブランド知名度が高い古着が人気で、欧米客は見た目やデザイン、自身に合うかどうかを重視する傾向がある。店頭では英語で店を紹介するチラシを配るようにした。

 6月末には買い物かごや看板にも英語を盛り込む。「夏場はオリジナルのうちわを販促物として配るなど、タッチポイントを増やす施策を進めていく」予定だ。

 三条通にある「ジョンブル」京都店は、インバウンド売り上げが22年11月以降は20%以上を占め、23年3月からは30%超で推移している。コロナ前に30%以上を目指していたが、その目標を上回っている。

 デニムアイテムをはじめとした国産商品、デザイン性の高いワークウェア、アップサイクルプロジェクト「リベア・バイ・ジョンブル」で打ち出す一点物が売れ筋。生産過程で残った生地を活用したリベアのパッチワークシリーズは、きもの地も活用し、アピールを強めている。体格の大きな欧米人をカバーしやすいこともあり、サロペットも買い上げ決定率が高い。

「ジョンブル」京都店でインバウンドにも人気の「リベア・バイ・ジョンブル」

 こだわりの強い商品については、独自に英語のPOP(店頭広告)を設置。接客にはタブレットを使い、着用画像やこだわりの物作りをビジュアルに伝える工夫もする。「会話の質よりも話し込みを重視し、距離感を詰めることが有効」と言う。平均客単価は国内客の1.2倍になっている。



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