日本郵便と東京大学総合研究博物館が協働運営する学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク」で11月5日、特別展「被覆のアナロジー―組む衣服/編む建築」が始まった。ファッションデザイナーの江角泰俊さんと、建築家の隈研吾さんが協業し、衣服と建築の要素を相互に生かすアプローチによって、持続可能な新しいデザイン手法を見いだした。
江角さんは「エズミ」の21年春夏向けで、隈さんの建築理論に着想を得て、洋服のパーツを組み合わせ、自由に形を変化できるドレスを発表した。それがきっかけで今回の協業へと発展。環境負荷に配慮したなかで、「建築の構造を衣服に、衣服の素材を建築へと、異なる領域の構造物をクロスオーバーさせたプロダクトが実現できるんじゃないかと考えた」と江角さんは話す。竹の建築物を度々手掛けている隈さんに、京都の竹職人を紹介してもらい、新たに竹を編んだバンブーガーメントなどを発表した。
隈さんは、変化や成長の可能性がある「編む」手法の建築を研究しており、微妙な柔らかさと固さを兼ね備えたフェルトの活用に着目。スタイレム瀧定大阪が国内で生産している、ポリエステル繊維のリサイクル培地「トゥッティ」のフェルトボードに、切れ目を入れるエキスパンドメタルの構造を取り入れ、温かみがあって柔らかに曲線を成す資材を開発した。フェルトへの応用は世界でも例がなく、「建築用途にも使いたい。ファッションの要素を反映した実験的な取り組みであり、未来的な実用性を持っている」と隈さんは話す。特別展は、23年4月2日まで開催する。