ニットの歴史はあまり明らかでありませんが、織物より古いと考えられています。機械ではなくて、指や棒を使って、手で作業するからです(織物は機械でしか作れないので…)。
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少なくとも紀元前5000年以前に、ニットはエジプトに存在していました。紀元前2000年代のインカ文明でも発掘されています。このほか、中近東やスカンジナビア半島などにも見られました。
人類はもともと、樹皮(じゅひ)や草の茎(くき)などを材料に、網や籠(かご)などを製作していたと見られます。それらは、衣類に使うニットというよりも、硬い素材を使った「組み物」のようなもので、その後、糸やひもが使われながら、現在のニットに近づいてきたようです。本格的なニットが西欧に登場するのは8世紀以降です。
ヨーロッパへの伝わり方には、大きく2ルートあります。1つが、8世紀にアフリカのイスラム教徒が、イベリア半島を征服して伝えたもの(これはスペインに局地的にとどまったと見られています)。
もう一つが、11~13世紀の十字軍の遠征によるもので、中近東のイスラム世界の手編みの技術がイタリアに渡りました。ここで、ニットは大きく花開き、14~16世紀のルネサンスとともに広くヨーロッパ中へ広まっていきました。
- 紀元前5000年以前にはエジプトに存在していた
- 籠をつくるように糸や紐で組みあげたのが現在のニットの始まり
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ヨーロッパに伝わったのは、アフリカと中近東の2ルートから
(続く)