ファッション業界の構造は「川上」「川中」「川下」に分かれています。
今回は「川上」編として、服に使う生地の種類や、素材がどうやって作られるのかを見ていきましょう。
◆服を形作る素材の種類は?
一口に服と言っても、一枚ずつ何で作られているか素材が違っていて、それによって見た目も着たときの感触も違います。
洋服は基本的に糸を「織る」か「編む」かして、平面、つまり布状の生地にして、それを立体にしています。どんな生地で作るかで、製品としての服は全く特徴が変わってきます。
◆タテと横に糸を交差する「織物」、一本の糸を鎖状に連ねる「編物」
生地の種類は大きく
- 織物(おりもの)
- 編物(あみもの)
に分かれます。織物は先ほどの「織る」ことで出来ているのですが、糸をタテ・ヨコに組み合わせて作るものです。
昔話の『鶴の恩返し』で鶴が機織りをする場面がありますね。あれは機械に張ったタテ糸(経糸)の間にヨコ糸(緯糸)を通して織物を作っているのです。今はこの工程は機械化されていますが、作り方の基本的な原理はほぼ同じです。
一方、編物は「編む」ことで生地を作るのですが、一本の糸が鎖のように絡んで連なりながら出来ています。これも手編みで作る様子を見れば分かりますが、かぎ針や棒で糸を絡めていくわけで、織物と同じく大量生産の編物は機械で作られます。
編むことを英語でニット(knit)と言うのですが、ニットというと毛糸のセーターやカーディガンが思い浮かぶかもしれませんね。
実は編物は、冬に着るセーターだけではなく、Tシャツなどのカットソー、スウェット、肌着、靴下・パンスト、スポーツシャツなどに使われています。
一般的に織物は、形状が安定しているのに対し、編物はストレッチ性や柔らかさに優れている、と覚えておきましょう。
【続く】