ケケン試験認証センタはNTTと共同で、産地を推定する工程を取り入れたカシミヤ品質検査システムの実証実験を12月から始める。NTTが持つガスセンシング技術を利用し、カシミヤ原毛の安定同位体を分析し、その比率とカシミヤ産地をひも付けたデータベース構築にめどがつき、カシミヤ製品の産地特定の実験を始める。21、22日東京国際フォーラムで開くJFWジャパン・クリエーション2019で取り組みを紹介する。
ケケンとNTTは昨春から、カシミヤ原毛に含まれる物質の安定同位体比を安定的・高精度に分析し、その比率と産地の相関を明らかにする研究に取り組んできた。カシミヤを燃焼し、発生したガスに半導体レーザーを照射し含まれる水素と炭素の安定同位体比を分析する。
この手法は、比較的小さく簡単な機器で分析できる。それらの比率は、水素は地理的な要因、炭素は飼育環境要因(えさとなる植物)を含む。これらと顕微鏡検査による形状情報、産地情報を組み合わせて産地を推定する。
12月からカシミヤ製品の産地を特定する実証実験を始める。引き続き産地で原毛採取し、蓄積データの拡充を図る。製品の産地推定システムの実用性を検証し、品質検査に組み込んだサービスを19年夏以降提供する。
本所寛ケケン理事長は「海外産地のブランド化支援やトレーサビリティー(履歴管理)確立による環境配慮・動物愛護も含むサステイナビリティー(持続可能性)支援、アパレル企業や小売業が安心・安全なカシミヤ製品の提供のため、今後も様々な研究に取り組む」という。
NTTはレーザーガスセンシング技術の提供だけでなく、消費者がスマートフォンで産地・トレース情報が確認できる仕組み作りも視野に入れている。