物作りの環境が厳しくなるなか、特色ある付加価値をどう作っていくか――。2月中旬にイタリア・ミラノで開催された国際靴見本市ミカムミラノ、国際革小物見本市ミペルは、コロナ禍を経て、消費の変化を捉える力を付けた出展者の存在が目を引いた。規模は小さいながらも堅実に成長する企業の動きを追った。
(須田渉美)
この数シーズン、トレンドがほとんど変わっていない婦人靴市場。スニーカーの次に楽な履き心地のモカシン(ローファー)の需要が高まり、ファッション性の高さよりも、ベーシックアイテムをきちんと作れる技術力がバイイングの決め手になっている。そこで成長するブランドの一つが「ルカ・グロッシ」だ。
ソールに機能素材採用
「売れる商品を考えて作ってきたことが結果につながった」と話すのは、トスカーナ州を拠点にする婦人靴メーカー、ルカ・グロッシのマルコ・グロッシ社長。来秋冬向けの卸売り価格は、モカシン65~70ユーロ、ショートブーツ85ユーロから。原材料やエネルギーコストの上昇を反映し、「1年前に比べて6~7%値上げした」が、会期の4日間、その影響を感じさせないほど活発に商談が行われていた。対日輸出も、23年秋冬の受注数はコロナ禍前を超えたという。