イポカ 商業施設支援サービス「滞留カウンター」を開始

2020/01/14 06:26 更新


 イポカ(東京)は、商業施設入館者の滞留時間をフロア・ゾーン別に把握できる新サービス「滞留カウンター」の提供を1月から始めた。提携スマートフォンアプリの月間ユーザー2500万人の位置情報を利用するため、施設側には新たな設備設置の必要がなく、競合施設を併用するユーザーの滞留時間も把握できる。多くの施設が導入済みの入館カウンターとの連携も準備を進めている。

 同様に位置情報を利用し、館内の動きを分析する「流動インサイド・ゼロ」も近く本格リリースする予定だ。すでに広く利用されている施設外の人の動きを把握し商圏分析する「流動アウトサイド」、O2O(ネットと実店舗の相互送客)アプリ「ニアリ」と併せて、商業施設の全ての施策をカバー・支援するメニューが揃いつつある。

 滞留カウンターのフロア・ゾーン別滞留時間計測を低コストで可能にしたのは、提携アプリユーザーの公開位置情報だ。Wi-Fiで5秒ごとに位置情報を取得し、競合施設も含めてフロア・ゾーン別の滞留時間を把握できる。流動インサイド・ゼロもWi-Fiの位置情報を利用し、施設の会員ID情報とクロス分析する。流動アウトサイドはGPS(全地球測位システム)の位置情報を利用する。

 人口減の下、テナント・ブランドにとっての商業施設の魅力は入館客数だけでは測れなくなった。「滞留時間をKPI(重要業績評価指標)に加えることが必須になる」(一之瀬卓イポカ社長)と滞留カウンター開発に着手したのは、飯嶋薫R・B・K代表取締役の「米国の好調SCは心地が良いサードプレイスを作り滞留時間を伸ばしている。日本のSCも滞留時間を正確に把握しないと淘汰(とうた)されるだろう」という指摘が契機だった。

 だが、入館カウンターは全館平均しか分からず、入館者一人ひとりのデータを取るには多くの顔認識カメラが必要で、個人情報保護の課題や膨大な投資がネックだった。解決策は利用許諾済みのユーザー位置情報利用だ。

 同じデータを利用し設備投資なしで、館内の動的な人の動きを分析するのが流動インサイド・ゼロだ。館内のアプリユーザーの位置情報から動線情報を収集・分析できる。施設会員の購買情報を組み合わせて分析すればMD見直しなど集客・販促にとどまらない施策が実行できる。

 既に70施設以上が導入している流動アウトサイドに加え、滞留カウンター、流動インサイド・ゼロが揃い、施設内外の客の行動を動的・静的双方の視点で分析できるようになる。




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