豊田市稲武地区、養蚕文化を守るためシルクチョコを開発 パティシエの辻口氏と

2023/11/22 06:26 更新


稲武シルクチョコレート

 愛知県豊田市の稲武地区養蚕・製糸文化伝承事業実行委員会は、世界で活躍するパティシエの辻口博啓氏とシルクを原料に使った「いなぶシルクチョコレート」を開発した。稲武に伝わる養蚕文化を守り、継承するためシルクの新しい需要を開拓する狙いだ。

 稲武地区は古くから養蚕が盛んで、伊勢神宮や熱田神宮に奉納する絹織物の原料となる生糸を献納してきた。だがかつて400軒あった養蚕農家はゼロになり、有志団体によってかろうじて養蚕、製糸の伝統をつないでいるのが現状だ。

 養蚕を事業として成立させるためには、需要を開拓することから。衣料にこだわらず幅広い分野で可能性を探りたいと、同実行委員会は市と協力し、チョコレートに照準を合わせ、辻口シェフの協力を呼び掛けた。

 原料にしたのは、繭から生成したシルクパウダー。辻口シェフによれば「アミノ酸が豊富で上品で豊かな味わい。シルクを原料にしたチョコは世界でも聞いたことがないが、両者の相性は良く、これならいける」と確信し、愛知県産のイチジクも使いシルクチョコを完成させた。来年のバレンタインイベントで販売する予定だ。

シルクチョコの試食会を11月17日には地元で開いた(右から2人目が辻口シェフ)


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