プリントTシャツ製造大手のイメージ・マジック(東京)は、岐阜県多治見市の工場にブラザー工業の前処理・プリント・乾燥一貫の全自動機を世界で初めて導入した。従来は6人がかりの作業が、オペレーター1人で対応でき、淡色ボディーなら1時間180枚の生産が可能。「データ連携を改善させて200枚を目指し、導入拡大を検討したい」(山川誠社長)という。
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この自動機はDTG(ダイレクト・トゥ・ガーメント)プリンターを製造販売するブラザー工業が協力企業と組んで米国で開発した。生産現場への設置はイメージ・マジックが世界で初めてで、次いで米国でも導入が始まっている。
通常のDTGプリンターは、事前に前処理剤を塗布したTシャツをパレットに装着し、プリントを開始。終わればTシャツを取り外し、乾燥機に投入するという流れで、着脱などに人手が必要だった。
これに対して、今回導入した全自動機は別工程での前処理が不要。オペレーターはパレットへの装着に専念し、前処理剤の塗布、乾燥、毛羽を寝かすためのプレスといった前処理を自動で行う。前処理後はコンベヤーでパレットをプリンターに搬送、プリント後は乾燥機に自動で送られ、パレットが循環する仕組み。同社はプリント指示をQRコードで管理、パレット装着時にコードを読ませてプリンターにジョブを送る。
ブラザー工業製の最新DTGプリンター「GTX600」4台が連結可能な「DL2400」(プリンター別で約1億766万円)と2台が連結出来る「DL2200」(約7548万円)を各1基導入。DL2400で、淡色ボディーなら1時間170~180枚、濃色ボディーなら120枚が生産可能。同社ではデータ接続の改良で「200枚を目指せる」とし、検証でさらに生産性を上げられれば増設を検討する。
同社はこのほか、自社で自動たたみ・梱包(こんぽう)出荷機「ハヤテ」を開発し、仕上げ・出荷に活用する。さらに、Z型ベルト式ソーターで配送エリア別に自動分類するシステムも整えている。「これまでも極力省人化するよう設備を開発してきたが、今後は工程間の移動にかかっている人手も自動化に取り組みたい。さらに少人数で回せる工場を目指す」としている。