ファッションテックで描く、次のアパレル体験とは①

2017/06/06 04:09 更新


Medium %e3%83%95%e3%82%a1%e3%83%83%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%83%86%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%bb%e3%83%9f%e3%83%8a%e3%83%bc%e7%ac%ac%e4%b8%80%e9%83%a8

 4月26~28日、東京ビックサイトで開催されたJFW-インターナショナル・ファッションフェアMAGIC・JAPAN(JFW-IFF・MAGIC)内にて、いま注目のアパレルブランド、ファッションテック企業が集まったセミナーが行われました。好評だったセミナー内容を要約し、ご紹介します。

第一部は「アパレルブランドのデジタルマーケティング施策について」をテーマに、以下の3名に登壇頂きました。

【登壇者】

  • トーマツベンチャーサポート株式会社ライフスタイル担当 納富隼平氏(司会)
  • 株式会社SnSnap代表取締役CEO 西垣雄太氏
  • MARK STYLER株式会社 宣伝部 イベント課 主任 大目木祐氏


■リアルとデジタルを用いたカスタマーエクスペリエンス


納富:それでは、まず自己紹介からお願い致します。

大目木:マークスタイラーの大目木と申します。宜しくお願い致します。当社は20代をターゲットとしたブランドを中心に、30代をターゲットとしたブランドまで全部で17ブランド展開し、Eコマースサイト「ランウェイチャンネル」も運営しております。私は各ブランドのPRの統括部署である宣伝部に所属しておりまして、その中で主にイベントや、芸能関係のキャスティング、協賛などを担当しています。

西垣:SnSnapの西垣と申します。宜しくお願い致します。弊社は、皆様のようなファッション・アパレル業界、フレグランスなどのビューティー系に加え、全く違う領域ですと車やエンターテイメント関係など、様々な業界のマーケッター様に、リアルとデジタルを用いて新しいカスタマーエクスペリエンス、ブランドエクスペリエンスを共有できるサービスをご提案しています。

SnSnap代表取締役CEO 西垣雄太氏

納富:マークスタイラーさんは皆さんご存じだと思いますが、SnSnapさんは存じあげない方も多いと思いますので、そのままサービスの話も伺えればと思います。

西垣:弊社はウェブサイトやSNSのプロモーションももちろん行っているのですが、他社と大きく違っている点が、オフラインに対してのコンテンツやサービスを自社で抱えている点です。

 代表的なサービスが社名になっている「#SnSnap」です。インスタグラム、ツイッター、フェイスブックなどのソーシャルメディアにハッシュタグやキーワードを付けて共有した写真をプリントアウトできるサービスです。

 実際に本日のような形のイベント、店頭、ローンチパーティーで、皆さんに写真を撮っていただき、ブランドのハッシュタグなどを付けてその体験を共有してもらっています。シェア頂いた方には、いわゆる“プリクラ”のように撮影データを印刷して、ノベルティーとしてお持ち帰りいただく形ですね。裏面にクーポンなども印刷できます。デジタルが普及した中で、実際にある“物”を“体験”と結びつけてお持ち帰り頂くサービスとなっています。

SnSnap社のサービス


メインサービスの「#SnSnap」

 また、インスタグラムのストーリーやスナップチャットなど、動画コンテンツがソーシャルメディアで広がっており、そちらに対応するようなコンテンツとしてオリジナルフレーム付きの写真や動画の撮影ができる「#MirrorSnap」なども展開しています。

 SnSnapは2015年の5月にサービスをローンチしたのですが、その頃はファッション系のクライアント様が全然いなくて。たまたま共通の友人がいた縁で大目木さんに興味をもっていただき、マークスタイラー様がファッション系で初めてのクライアントとなりました。

大目木:私自身、「デジタルのモノが、アナログの物になって出てくる」というところに凄く興味を持っており、まさにドンピシャのサービスでした。

西垣:また、インスタグラム、ツイッター、フェイスブックに投稿された方と、それをフォローしているお友達のデータなどからリーチ数を出し、広告換算する仕組みをとっていることも私たちの特徴です。更に今はそのデータを活用してターゲティング広告の配信ができるようになっています。例えば、マークスタイラーさんの新しいブランドのイベントを行う際に指定のハッシュタグを設定し、ハッシュタグのついた投稿が何十万リーチしたとします。その何十万のリーチした方々に対して、その日やその翌日に、商品情報やECサイトの広告を自然な形で配信することが可能です。

大目木:SnSnapさんとは当社のイベントで色々とご一緒させて頂いていますが、やはりお客様はパーティーとかイベントで写真を撮る機会が多いので、非常に楽しんでいただけています。

西垣:大目木さんともよく議論をさせていただくんですけど、各社、実際に顧客様にイベントに来てもらう際に、ブランドイメージの拡散などに凄く力を入れていらっしゃいますよね。ただ当日に招待できるお客様の人数は限られてきてしまう。多くのお客様に「感動と体験をシェアしてもらいたい」というところで、まず、コンテンツとノベルティーの作成というところで各社様にご利用いただいています。そのあとは先ほど説明したようなデータなども活用頂いています。

MARK STYLER株式会社 宣伝部 イベント課 主任 大目木祐氏

大目木:弊社が行うイベントは、顧客様を心から楽しませられるようなイベントを心がけています。イベントに来られる方って、イベントに行って写真を撮って、それをSNSにアップするというところまでが楽しみというか、体験をシェアするところまでを若い人たちは楽しみにしていて。そういう時に写真が撮れるようなブースがあり、それをアップすることを促進できるっていうのは非常に良いと思いました。

納富:なるほど。実際にマークスタイラーさんの「ジュエティ」のレポートなんですけど、このイベントには何人くらい参加されたのですが?

大目木:当日は約500名くらいの方がいらっしゃいました。この中の200名くらいの方にSNSへアップしていただき、投稿数でいうと255投稿となっています。

納富:200人が250投稿して、全リーチ数が200万人!

大目木:換算すると1人の1投稿につき8000人のフォロワーがついてるという見方になります。実際に「よく使われたハッシュタグ」が分かり、そこからどういうふうにリーチしたとか、ユーザーがどういったお客様なのかを分析できます。

納富:イベントでは、お客様にハッシュタグを記載したカードを配られていましたね。すると実際の投稿の中でも「カードに書かれていたハッシュタグでの投稿」が圧倒的に多い。企業側がこのようにハッシュタグをユーザーに対して発信することで、みんなの共通ワードになる。企業側としては伝えたいことが伝えやすく、かつ、自然に伝わるのかな思います。

西垣:おっしゃるとおりです。「ハッシュタグはこちら」みたいに、当日イベント会場でちゃんと訴求してあげることでムーブメント化します。また、実際にSNSを使っている方は、「他の来場者は何を投稿しているのか」を非常に気にされていて。ちゃんとハッシュタグを残しておくと、それを結ぶだけで「他の人がどういう体験をしたのか」までが共有できる。そうすることで、集まった人達が、全然知らない人たちと情報交換ができるコミュニティーになっている。

 このようにマークスタイラーさんは、オンラインとオフラインを切り離して考えず、素晴らしいイベントを企画されているので、他社の方も非常に参考になると思います。



■拡散だけでなく、エンゲージメントまで

納富:他の業界もそうですが、ファッション業界もまだまだIT化って進んでないというか、使う余地があると思うのですが、マークスタイラーさんは先鋭的に取り組まれていますよね。そのきっかけを教えてください。

大目木:そうですね。イベントにおいて大事なのは、一番は来てくれた方に楽しんでいただく、ブランディングを発信することだと思います。その中で、来てくれた500人にだけ伝わるのではなくて、それがいかに拡散するのかということが重要ですよね。

 どうしたら拡散するのか。第一に大事なのは会場。写真を撮りたくなるようなフォトジェニックな空間を作るのが第一です。その後、さらに拡散するには、と考えた時に、撮影した写真をSNSにアップすればカードになって出てくるとか、他にはない体験、お客様に本当楽しんでもらうコンテンツが必要だと思い、SnSnapのような機械を導入しました。

納富:現場の盛り上がり以外にも効果を感じたことは?

大目木:マーケティング効果が分かることですね。今まではハッシュタグを自分たちで検索し、何件くらいあったかを調べていました。それこそ、手動に近い形で。それがレポート分かる。イベントを運営する側としても、目標設定を組みやすく、効果が目に見えて分かるのは非常に便利です。一つの指数ではあるんですが、「ここまでいったんだ」という成果が分かりやすいっていうのは喜びにもつながります。

西垣:愛着とか熱量とか、リアルイベントでしか体験できないことってあると思うんですね。それをイベントに来ていただいたお客さんに持って帰ってもらう。最終的にそこからシェア、拡散されてオンライン上でもコミュニティーを作ることを私たちは手掛けています。

 また、コミュニティー拡散だけではなくて、いまはエンゲージメントも求められています。どれくらいリーチして、更にそこからどれくらい交流があったかというのが、ちゃんと数字で出るんですね。数字で出るからこそ、反省できることもある。そこがデジタルの良さです。ですので、今は体験、シェア、リーチ数、更にエンゲージメントまでワンストップで提供できることを目指しています。

納富:次のテーマです。オフラインとオンラインをどう組み合わせるのかは非常に重要になっていると思いますが、どのように取り組んでいくのかお聞かせ下さい。


大目木:オフラインは、やはりイベントを重要視しています。なぜかというと、ブランドを発信していく上で、ただ商品を売るPRをするのではなく、あくまでブランディングとしての発信を心がけているからです。イベントといっても顧客様に対して非日常的なイベントを提供するだけではありません。例えば、「アングリッド」というブランドでは、衣・住・食の結びつきを意識しておりまして、パンケーキカフェとコラボレーションしてメニューを作ったり、パーティーをやったり。また、ブランドディレクターのプロデュースしたリノベーションマンションの販売なども行っています。

オンラインはやはり、主にSNS。情報の発信もしやすいですし、受け取りもしやすい。オフラインとのつなぎをSNSでしています。


■オフラインとオンラインのバランスを


納富:SNSの運用方針はありますか?

大目木:当たり前かもしれないのですが、アップする時間帯を生活リズムに合わせています。例えば通勤の時間帯、お昼休みの時間帯、夜寝る前の時間帯などに投稿時間を区切ったり。

 また、スマホファーストを意識しています。当社のブランドターゲットになる20代の方は、PCを見るよりスマホを見ることが多いので。例えばブログ1つとっても、PCで見るよりブログで見やすいように作成するため、記事を書く段階でもあえてスマホで作ります。ツイッターではサムネイルが綺麗に見えるようにこだわりますね。ツイッターでは写真1枚だと横長で表示されますが、スタイリングを見せたいのであえて2枚使用して縦長で見せたいものを見せるっていうのを心がけていますね。

トーマツベンチャーサポート株式会社ライフスタイル担当 納富隼平氏

納富:なるほど。ソーシャルメディアを運用されている方、ファッションももちろんなんですけども、他の業界でも、ブランドイメージを壊さないタイムラインにするように注力されてる方が多くなっていますね。


大目木:インスタグラムのアカウントも、ブランドのコンセプトやイメージを伝えるようなメインのアカウントと、主にスタッフメインでスタイリングを見せるアカウントを使い分けています。後者は実際のスタッフの身長が書いてあったりとか凄い丁寧な作りを心がけています。


納富:今後、やりたいと思っていることなどがありましたら、お聞かせ下さい。

大目木:当社はやはり顧客様に楽しんでもらうこと。お店服を買ってファッションを楽しむのはもちろん、非日常的なパーティー、イベントとかを体験してもらいたいって思っています。それがいかにデジタルにつながるか。#SnSnapのように、色んなテクノロジーと取り組みたいと考えています。

西垣:私は2点あります。1つは、オフラインとオンラインのバランスだと思っています。例えば、#SnSnapの印刷する仕組みは、最初は「それ本当にいけるのか」って皆さんに言われたんですよ。みんなスマートフォンで簡単に撮って保存しているのに、「なぜ印刷する必要があるの?」と。でも、今の若い方たちには印刷する文化がなくて逆にそれが新しく見えていたりします。実際にスマートフォンに何千枚、何万枚ってある写真って意外と見返さないですよね。だからこそ、#SnSnapで印刷した物を携帯のカバーとか財布に大事に入れてくれていたりするんです。デジタルの魔法的な部分と、そうじゃないアナログ的なそこでしか出せない価値って絶対あるので、そこを上手く交えて立体的なプロモーションを仕掛けていくっていうのは一つのキーになるかなと思っています。

2つ目は、アンテナを常に張っておくこと。ソーシャルメディアは毎週と言っていいほど、新しい機能が出たり、どんどん変わっていくんですよ。だからその日々の変化にいち早くキャッチアップしていくことは非常に大切です。先取りしてトライしないと、どんどん遅れていっちゃうので。大目木さんはIT系の人なんじゃないのかなっていうくらい詳しいし、自らトライアンドエラーで試されている。それは重要なキーだと思います。

納富:お二方とも、ありがとうございました。


Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事

Btn gotop