注目の新旧女優×ファッションをシネマで(宇佐美浩子)

2017/12/15 15:00 更新


このところ活躍が目覚ましい若手女優と言えば、エル・ファニング。

現在公開中の映画『パーティで女の子に話しかけるには』では、異星人というユニークな役どころも手伝って、まさにその魅力がクセになりそう。

ちなみに本作の舞台は1977年のロンドン郊外。

セックス・ピストルズに代表されるアナーキーなテイストの音楽、時代を超えて幅広い層のファンを持つヴィヴィアン・ウエストウッドのファッション、時はまさに「パンク」ムーブメント真っ盛り。

そんな時代に出会う内気なパンク少年エンと、ちょっと不思議な美少女ザン。

そして48時間限定という、シゲキ的で斬新なラブストーリーが始まる♡


さて、上の写真の中央にそびえ立つ女優は誰だかわかりますか?

なんとあのニコール・キッドマンなんです!

元ヴィヴィアン・ウエストウッドで働いていたがクビになり、若手パンクロッカーたちを仕切るボス的存在という設定がまた、フィットしているというか…

そんな気分を盛り上げる衣装は、輝かしい受賞歴を誇る業界のクィーン的存在、サンディ・パウエルによるものだ。

そこで、本作のビジュアルや衣装にまつわる資料の中に、興味深い記述を発見したので下記にシェアを。

❝ザン役には黄色のパレットとトレードマークのラテックス製ショートパンツとトップス、
そして共同体メンバーが身につける服のより短く、よりパンクっぽいバージョンのキルトを作っている❞

ちなみに、このラテックスの衣装をファニングが着用する際には、スルッと簡単に着ることができるよう、ローションを塗り、さらに二人の手を借りて行っていたそう。

またコンサートのシーンで着用していた、プラスティックのごみ袋で編みあげたトップスは、ライトの熱で何度も溶けたため、修理をして使用していたのだとか。

このほかいろいろ、現場での撮影秘話があるのではないかと思われる本作を観終える頃には、ひょっとすると…

「ツルツルのラテックスでできたスタイリッシュな衣装を、ちょっと着てみたくなった!」

なんて言う人もいそうな予感(笑)


パーティで女の子に話しかけるには

新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ渋谷他全国順次公開中

© COLONY FILMS LIMITED 2016


さて、ファッションの楽しさも満載の本作の公開を記念し、「アメリカンラグシー」より発売のスペシャルアイテムが好評だという。

ジョン・キャメロン・ミッチェル監督のサインを加えたTシャツや、劇中に登場するアニメーションなどを施したトートバッグ、サコッシュバッグ、またヴィンテージリメイクMA-1も人気とか。


というわけで今回は「注目の新旧女優×ファッションをシネマで」がテーマの「CINEMATIC JOURNEY」。ゴールに選んだのは永遠の輝きを放つフランスが誇る2大女優、二人のカトリーヌが初共演にしてダブル主演となる『ルージュの手紙』。


物語は、パリ郊外に住むベテラン助産師クレール(カトリーヌ・フロ)のもとに、ある日、1本の電話が入る。電話の主は、30年前に突如姿を消した、自由奔放に生きる血のつながらない母、ベアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)。

何から何まで正反対の、まっすぐに人生と向かい合う娘にとって、受け入れ難い継母との再会は、互いに重ねた歳月が、思わぬ方向へと導いていく…


さて、実生活同様、衣装とキャラクターはリンクするものだと思うのだが、本作の2人のカトリーヌの衣装もまた、そのものズバリといっても過言ではない!

そしてまた時に、このケリーと思しきバッグやスカーフ、ジュエリーは、ご本人の私物?風なドヌーヴ。一方、マニッシュでスポーティなスタイルが自然とフィットするフロ。

その良いサンプルとも言えれるのが、下記のパジャマかも?

ちなみに最近「パジャマ人気はとても高い!」という話で、銀座にオープンしたばかりのイタリアン・ランジェリーブランドIntimissimi(インティミッシミ)の日本初の路面旗艦店でも、そんな話題を耳にした。安眠効果アップにも効果ありとのことだ。


余談ではあるが、プロダクション・ノートに記された監督・脚本のマルタン・プロヴォのヒロインの職業を助産師にしたことに関してのコメントが印象的。

❝(誕生時に)助産婦がご自身の血液を輸血してまで、
僕が生きることに身を砕いてくれたんだ❞

よって本作は、彼女への敬意と、身を尽くして他人のために働くあらゆる女性たちに捧げるものだという。

ルージュの手紙 

12月9日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

© CURIOSA FILMS – VERSUS PRODUCTION – France 3 CINEMA





うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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