Dear WOMEN(宇佐美浩子)

2022/04/28 06:00 更新


前回の「CINEMATIC JOURNEY」の主人公こと、「『こだわりスト』スパークス」。音楽のみならず映画への情熱も相当な彼ら、ロン&ラッセルのメイル兄弟だが、中でも「20世紀最大の巨匠」と称される、スウェーデンの映画監督イングマール・ベルイマンへの敬愛は別格の様子。

そんな彼ら同様、映画界の名監督たちもまた、多大な影響を受けたと聞く。たとえばスピルバーグや、スコセッシといった名匠にはじまり若手たちも。

そこで今回の「CINEMATIC JOURNEY」は「Dear WOMEN」と題し、スパークス的「こだわりスト」女性編として、次なるバトンの受け取り手に、勝手ながら任命したのは、ベルイマンの熱狂的支持者とも聞くミア・ハンセン=ラブ。さてその訳とは?

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筆者の友人夫妻とオリヴィエ・アサイヤス監督(ミアのかつてのパートナー)とが近しい関係にあったことから、ミア監督デビュー作当時から親しみのまなざしを向けていた。そしてまた偶然にも今回のタイトルは、『ベルイマン島にて』なのだから。

というわけで現在公開中の本作観賞前後のいずれにも有効的と思われる、ベルイマン的視点で味わうポイントをいくつかまとめてみた。

☑本作舞台となるのは彼が作品を撮影し、晩年を過ごしたスウェーデンの離島、フォーレ島。

☑主人公となる映画監督夫妻が滞在する同地の「ベルイマン・エステート」は、世界中のあらゆる分野の芸術家や学者、ジャーナリストに向け、開放された4軒の家と1軒の映画館から構成された施設。ちなみに本館はベルイマンが生前、個人宅兼仕事場として使用していたそう。

☑使用の申請に際し、「文化的・芸術的貢献でコミュニティへ還元する方法」のプレゼンが必須だが、申請が受理されると2週間以上2カ月以内の滞在が無料。なお申請するプロジェクトは、ベルイマンの作品との関連性は問われない。


年齢差のある映画監督夫妻のスクリーンに映し出される関係性、また劇中劇に登場する10年ほど前に別れた元カレとの再会における「1度目の出会いは早すぎて2度目は遅すぎた」という表現。

そのいずれにも心揺さぶられると同時に、ミア監督の実像と重なっていく…

そして前述の「ベルイマン・エステート」にまつわる内容を記述するにつれ、いつの間にやら、さまざまなプロジェクト案を思い巡らし、リアル「CINEMATIC JOURNEY」への夢を抱いてしまう筆者似の読者も、きっとおいでのはず⁉


ベルイマン島にて

シネスイッチ銀座ほか全国順次公開中
配給:キノフィルムズ
© 2020 CG Cinéma ‒ Neue Bioskop Film ‒ Scope Pictures ‒ Plattform Produktion ‒ Arte France Cinéma


「Dear WOMEN」と題し、前回の「こだわりスト」の女性バージョン目線で巡回中の「CINEMATIC JOURNEY」。続いて登場するのは、ファッションアイコン、起業家、慈善家としても目を引くJLoこと、ジェニファー・ロペス。彼女の新作で同じく現在公開中の『マリー・ミー』


本作の主演、プロデューサーも兼務する彼女の肩書は、「女優、プロデューサー、歌手、エンターティナー、ビジネスウーマン」と幅広く、「史上最も影響力あるアーティストの一人」ほか、さまざまな輝かしい称号を持つパワフル・ウーマンだ。

キャリアを重ねる毎に内なる魅力をアップする彼女が、本作で披露した各シーンを演出するファッションもまた味わい深い。

その「こだわりスト」的共演を果たしたのが、衣装デザイナー、キャロライン・ダンカン。本作資料にも明記された下記、彼女のコメントからも伺い知れるだろう。

❝ジェニファー・ロペスのこれほど大規模で派手な映画のために45のルックスをまとめる機会を与えられたら...❞

確かに「NO!」という言葉はないだろう(笑)


さて、そのラグジュアリーなファッションのマリアージュについて、本作資料を軸に、独自の視点でまとめてみた。

☑ほのかに香るロマンスあふれるカラーパレットへと移行する。冒頭のヘビー級重量感あふれるラグジュアリーなローズゴールドのウエディングドレス(写真上記)から、柔らかな透け感のある素材のベビーピンクのドレス(写真下記)。

☑スタイリッシュな演出を実現するワントーンのタイトな素材感から、より開放的でほおずりしたくなるような心地良さをイメージするカシミアなどを用いたナチュラル系スタイリングへと変貌を遂げていく。

というわけで、すでにご覧になった方にはやや復習的、そしてこれからご覧になる方には予習的要素をシェアした、21世紀の『ローマの休日』(イタリア)または『ノッティングヒルの恋人』(イギリス)、そして本作の舞台はニューヨーク(アメリカ)への「CINEMATIC JOURNEY」に!


マリー・ミー

全国公開中
配給:東宝東和
© 2021 Universal Pictures


映画、音楽、そしてマリアージュな話題が登場した今回の「CINEMATIC JOURNEY」のテーマ「Dear WOMEN」。その根底にあるのが「こだわりスト」女性編。そんな女性たちの話題を少しばかり…


「ウェルネスフード・コンシェルジュ×ティーマスター with J.S. バッハ」編

昨年末にオープンした「ホテルグランバッハ東京銀座」という名称にも掲げられるJ.S. バッハ。氏の故郷ドイツにて創業から2世紀の歴史を誇る、人気の紅茶ブランド「ロンネフェルト」社公認のティーマスター(シルバー)大城眞由美さん。そして管理栄養士としてのキャリアを重ね、当ホテルブランド初のウェルネスフード・コンシェルジュに就任後、ウエルネスイベントも開催する大島瑠梨子さん。

このほど「こだわりスト」2人の初共演が実現した。

高まるノンアルコール人気の中で関心が寄せられる、茶葉のブレンドによる相乗効果。また在宅ワークが日常化する中、健康的食生活におけるプロの知恵(レシピと効能)。こうした技の伝授による味覚のマリアージュは現代のライフスタイルに役立つことを実感。次回にも期待!


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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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