懐かしい映画のタイトルを模して、「オウチでシネマパラダイス」と題し、「自宅でのリフレッシュタイムにご活用願えたら...」といった思いを込め、シネマファンに向けてお届けしている4月の「CINEMATIC JOURNEY」。
「その2」となる今週は、前回の作品とクロスする女優母娘をクローズアップ。
「大輪の華」と称したい大女優、カトリーヌ・ドヌーヴ。
そんな彼女を母に、またイタリアの名優マルチェロ・マストロヤンニを父に持つキアラ・マストロヤンニ。この美しき母娘の新作をフィーチャーすると共に、過去の出演作を今一度見直してみたく!
それでは早速、久々の母娘共演作『アンティークの祝祭』の話題からスタート。
「認知力が衰え始めた女性を初の白髪姿で」演じたというドヌーヴ。だが、どんな女性像も彼女が演じると、そこにはやはり独特の個性とエレガンスが香り立つ、「フランスの至宝」そのもの。
一方、年齢を重ねるごとに父のチャームポイントでもあった朗らかな表情が酷似するキアラ。当初、彼女の起用をためらったと語るジュリー・ベルトゥチェリ監督も、
❝オープンで、心の深いところから演技をする人だった❞
とコメントされている。(本作資料より)
というわけで、本作で挑んだ二人の関係は、埋められない溝から20年近く疎遠になっていた親子。
だが昨今ありがちな人生のフィナーレを目前に控えた母が突然、断捨離的行動を起こす。
その知らせを友人から耳にした娘が実家を訪れることで物語はさまざまな局面を映し出していく...
既にドヌーヴ母娘は、キアラのデビュー作かつ、フランスにおける米アカデミー賞にあたる「セザール賞」有望若手女優賞にノミネートされた、思い出深い一作『私の好きな季節』を皮切りに、『愛のあしあと』でも共演している。
シネスイッチ銀座ほか近日公開
配給:キノフィルムズ/木下グループ
© Les Films du Poisson - France 2 Cinéma - Uccelli Production – Pictanovo
「オウチでシネマパラダイス」と題し、「自宅でのリフレッシュタイムにご活用願えたら...」そんな思いを込め、シネマファンに向けてお届けしている4月の「CINEMATIC JOURNEY」。
「その2」となる今回は、カトリーヌ・ドヌーヴとキアラ・マストロヤンニ母娘をクローズアップ。
2人の共演作に続いてご紹介するのは、キアラがヒロインを演じる新作『今宵、212号室で』。
本作で「第72回カンヌ国際映画祭ある視点部門最優秀演技賞」を受賞したキアラ。そのストーリーはどこか本人の私生活と重なると言っても、嘘ではない。
なぜなら前夫であるフレンチ・ポップス界で活躍するミュージシャンでプロデューサーのバンジャマン・ビオレと夫婦役で共演しているから。さて、そのストーリーはいかに?
前述の作品同様「20年」という歳月は同じだが、こちらは結婚20年を迎える二人暮らしの夫婦。
恋愛時代の5年を含め、計25年間浮気経験なしの夫とは裏腹の、恋多き人生を歩む大学教授の妻。
そんな浮気が遂に発覚し、自宅と向かいのホテル(212号室)で一夜を明かすことになる妻。
目覚めると、なぜか20年前の夫が目の前に出現し、事態は思わぬ方向へと向かう...
大人たちのミラクル・ラブストーリーだ。
ここで、是非とも注目したい女優がいる。キャロル・ブーケ。本作では若き日の夫のピアノ教師で元恋人。彼女の現在を演じるという役どころだ。
(ご存じの方も多々おいでかもしれませんが...)15歳でフランスの名門、ソルボンヌ大学の哲学科に入学するという、正真正銘の「クールビューティ」と称すべき彼女の転機となったのがルイス・ブニュエル監督に見出され、『欲望のあいまいな対象』でのスクリーンデビューだった。
そして美女列伝としても知られる『007シリーズ』のボンドガール。その第12作『007 ユア・アイズ・オンリー』のボンドガールに抜擢され、活躍の場が世界へと広がった。
またその一方で、「シャネルと言えば『シャネル N°5』」と口をついて出てしまうほど、シャネルを代表する香り。そのミューズとして活躍し、ファッション界での知名度がアップしたことは言うまでもない。
ちなみにその香水を世に知らしめる、いわば「顔」として登場したのが、実はカトリーヌ・ドヌーヴだったということをご存じでしたか?恥ずかしながら筆者もこの度、認識を新たにした次第。
❝女性の香りのする、女性のための香り❞
こうしてマドモアゼル シャネルは、時を超え、今なお愛され続けるさまざまな定番の創造と共に、
多くの芸術家をサポートするなど文化的貢献も果たしてきた。
そしてキャロル・ブーケも同様に、女優業のみならず、社会貢献活動も積極的に行っているとのことだ。
6月12日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、シネマカリテ他全国順次公開予定
配給:ビターズ・エンド
©Les Films Pelleas/Bidibul Productions/Scope Pictures/France 2 Cinema
うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中