アートとシネマがランデブー(その1)(宇佐美浩子)

2019/11/11 06:00 更新


ここは一体どこのアトリエでしょう?

すでに答えをご存じの方も多々おいでかもしれませんが…

実はあのフランス映画界の巨匠リュック・ベッソンが、かつて撮影スタジオとして使用していた建物!

なのですが、現在はエルメスのスペシャルオーダー部門のアトリエとなっているそうで、そのアトリエの一部が今、六本木ヒルズノースタワー(1&2F)にて今月17日まで開催中の「夢のかたち Hermès Bespoke Objects」にて再現されているのです。

さて、その気になる内容を少しばかりご紹介しますと、本展は2019年のエルメスの年間テーマ「夢を追いかけて」にちなんでおり、各自が抱く夢がエルメスならではのモノづくりの技が光るスペシャルオーダーで見事なまでにカタチになったオブジェが勢ぞろい。ビックリするような夢の実現に、驚きとトキメキをシェアすることになりそう!

ちなみに上の画像は、会場内壁面に投影された来場者それぞれの夢のイラスト。

そして下記は、スペシャルオーダーにより完成した33回転のLP盤を聴くためのユニークな形状(=巨大なLP盤型)のジュークボックスだとか。


一般的に文化祭の多い11月は、「CINEMATIC JOURNEY」もまた「アートとシネマがランデブー」をテーマに、前後2回のシリーズ編。

というわけで早速、公開になったばかりの『永遠の門 ゴッホの見た未来』をご一緒に!


20年1月13日まで、上野の森美術館でも「ゴッホ展」が開催されるなど、この秋冬はアート&シネマの何れのジャンルでも注目すべきアーティストと言えるのが、フィンセント・ファン・ゴッホ。

けれどその生涯は思いの外、太く短く。なんと37年。また画家としてのキャリアもわずか10年程だったというのですから、故人となったゴッホ自身も現在の注目度は想定外ではないかな?と。

本作は自身もアーティストの顔を持つジュリアン・シュナーベルが監督。そして名優ウィレム・デフォーが主人公ゴッホに扮し、第75回ヴェネチア国際映画祭最優秀男優賞を受賞するほか、注目度満載の熱演ぶりだ。

また脇を固める顔ぶれも華やか!

シュナーベル監督とは『潜水艦は蝶の夢を見る』のマチュー・アマルリックをはじめ、

昨今なぜだか聖職者役が続くマッツ・ミケルセン等が名を連ね、物語に一層の味わいを添えている。

そして本作資料による情報に記された「監督等が描いた130点以上のゴッホの絵」に、監督の本作への熱い思いとアーティストとしての力量を実感するだろう。

「知っていそうで、実は知らないことばかりだった!」そんなゴッホとその時代背景を本作で再度学んでみては。


『永遠の門 ゴッホの見た未来』

新宿ピカデリーほか全国順次公開中

配給:ギャガ、松竹

ⒸWalk Home Productions LLC 2018

P.S.>>ここで少し東京アート散歩の先駆者的存在こと、1919年12月13日に設立された、現存する日本最古の画廊「資生堂ギャラリー」。その100周年を記念して、さまざまな興味深い企画が組まれている。とりわけ現在開催中(12月22日まで)の「Surface and Custom」展は、資生堂の創業者、福原有信の三男、信三が欧米で学び得たモダンアートの知見と美意識をもって設立した当ギャラリー1世紀を飾るにふさわしい内容だと思っている。

なぜなら本展は、国内外で活躍する現代アートの作家たちが、それぞれの感性と手法で

❝資生堂のビジュアル・イメージの変遷と、歴史や既成概念を問い直しながら自身の作品へと昇華させていく❞ (本展資料より引用)

そんな西欧文化と日本の美のマリアージュが根底に宿るブランドらしい構成の展覧会だから。

会場内風景より手前はピエール・ルギヨン「メリダ絵画」、奥はカリッサ・ロドリゲスの「The Maid」


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うさみ・ひろこ 東京人。音楽、アート、ファッション好きな少女がやがてFMラジオ(J-wave等)番組制作で長年の経験を積む。同時に有名メゾンのイベント、雑誌、書籍、キャセイパシフィック航空web「香港スタイル」での連載等を経て、「Tokyo Perspective」(英中語)他でライフスタイル系編集執筆を中心に活動中



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