FB企業、持ち株会社化再び活発化

2016/12/31 06:52 更新


機動性ある仕組み模索

事業領域拡大や機能分離


 ファッションビジネス(FB)企業で再び持ち株会社体制に移行する動きが活発だ。大手のアパレルや流通業で先行したが、経営の効率化や迅速な意思決定のために、より合理的な企業構造への変革を目指す動きが目立つ。人口減少社会に入った日本で市場の縮小が予想されるため、事業再編や企業買収などにも備えて機動性のある仕組みを模索している。


 ブライダル関連のクラウディアは17年9月に持ち株会社へ移行。100%出資の分割準備会社を設けた後、社名をクラウディアホールディングスに変更した。ブライダル市場は少子高齢化の進展で結婚適齢期世代の減少が避けられない。婚礼衣装市場、挙式・披露宴市場は競争がますます激しくなるため、〝ものづくり〟をコアとしながら、より大きな挙式関連サービス事業領域の開拓を目指す。各事業会社が環境変化に的確に対応し、収益拡大に向けた施策の意思決定を迅速にするため、持株会社体制を決定した。


 婦人服専門店のハニーズは17年3月に持ち株会社制へ移行する。100%出資の分割準備会社を設立し、17年3月1日にハニーズホールディングスに商号を変更する。戦略と事業の機能を分離し、グループ全体の経営効率を高める。ハニーズは「婦人服専門店業界では価格競争が激しさを増している一方で、中国での人件費上昇の影響によって仕入価格が上昇するなど、極めて厳しい環境が続いている」とする。事業会社でも経営責任を明確にした運営で、将来を担う次世代経営人材の育成に取り組む狙いもある。


 はるやま商事は17年1月4日付で会社分割による持ち株会社体制に移行し、商号をはるやまホールディングスに変更する。衣料品や関連用品の販売事業を担う事業会社を新設し、当該事業を新設会社へ分割承継させる。「紳士スーツの国内市場は成熟し、競争のグローバル化が進む中、同業他社の業種業態を超えた事業展開などの動向が注目され、大きな変革の時期を迎えている」という。基本戦略を効率的かつ効果的にグループ全体へ浸透させ、持続的に成長するために決定した。

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 持ち株会社制ではないが、デサントはグループ体制を再編し、デサントジャパンを新設し、本社機能と日本事業を分ける。17年4月からデサントはグループ総本社としてグループ経営戦略の立案、商標権の保有、グローバルマーケティングなどを担い、デサントジャパンは日本事業に特化する。


 今年は多様な業態を抱える企業で、持ち株会社制への移行が目立った。9月にはパルが持ち株会社のパルグループホールディングスに移行した。今後の成長のために経営スピードを上げ、柔軟な経営判断のできるグループ運営体制を目指している。各事業会社の経営を能力ある人材に任せ、次世代を育成する。グループ価値向上へ、M&A(企業の合併・買収)を含めた新たな成長分野への積極的な経営資源分配も行う。


 健康コーポレーションは7月に持ち株会社制に移行し、社名をライザップグループに変更した。これにより、グループ管理体制をさらに強化し、今後のグローバル展開に向けて信用を高め、他市場への上場についても将来的に目指すとしている。同グループはエンジェリーベ、馬里邑、アンティローザ、夢展望、三鈴、マルコ、パスポートなどFB企業を増やしている。

(繊研 2016/11/29 日付 19599 号 1 面)



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