《平成ストリートスナップ》渋谷のストリートに異変 セクシーリゾート急浮上(1997年5月8日付)

2025/08/20 06:00 更新NEW!


 90年代後半から00年代にかけて、本紙にストリートスナップの記事をたびたび掲載していました。30年近く前の、都会の一瞬を切り取っただけの記事ではありますが、その背景を店や企業に取材し、ときには売り上げなどの数字も入れていて、当時の商売の動きも少しわかります。“平成リバイバル”など様々なレトロが注目を集めている昨今、改めて読み返すことで、ビジネスに通じるヒントが見えてくるかもしれません。ベテラン記者が振り返ります。

※本文は読みやすく直しています。社名やブランド名などは原文のまま掲載します。

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モード系カジュアル蹴散らしてセクシーリゾート急浮上

1997年5月8日付

 東京・渋谷のストリートに異変が起きている。これまでストリートファッションの主流だったモード系カジュアルを蹴散(けち)らして、〝セクシーリゾート系カジュアル〟が急増。トロピカル調の柄や肌を露出するおしゃれが、がぜん勢いづいている。

 リゾートカジュアル旋風に火を付けたのは、女子中高生に人気の店、ミージェーン。「ミージェーンで買った」という、南国の植物をモチーフにした柄が、4月中ごろから渋谷の街に増え出した。なかでも目立つのがハイビスカス柄。これがアクセサリーや水着も含む他のメーカー、ショップに広がったかたちだ。中性的なモード系カジュアルにもの足りなくなった女の子たちが、いっせいに飛びついている。

 プリント、ジャカード、刺繍、オパール加工と、ハイビスカスの表情はさまざま。特に「マットな表面の素材が好調」というのは、ミージェーンを得意先とするカジュアルメーカー、ウェルシーの有田善信さん。ワンピースを軸に「それに羽織るものをプラスする、という買い方がほとんど」だ。ハイビスカスなどの柄物の人気は昨年から芽があったが、今年一気に浮上した。

 アクセサリー卸の東洋産業商会は、リゾートカジュアルの元気な女の子向けに、ハイビスカスのピアスやブレスレットを出している。水着を中心とするSPA(製造小売業)のル・マルシェでも、赤いハイビスカスがポイントのアロハ柄ウェアが好調だ。

 この傾向は高校生にまで広がり、「これまでのファンが離れてしまうのでは」(カジュアルメーカー、ウウラ)と懸念する声まで出るほどだ。この夏のストリートは、リゾートカジュアル、ハイビスカス柄が急上昇することになりそう。

《記者メモ》

 ギャルファッションが本格的に盛り上がってきたころの話。台風の目は本文に出てくるミージェーンでした。商品を作っているのはどれも小規模のメーカーで、商品タグに記載された会社名や電話番号をたよりに取材に行くことも。その話の中身は、従来の大手を中心としたファッションビジネスとは異なるものでした。

(赤間りか)



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