山縣良和が主宰する「リトゥンアフターワーズ」は、新たなプロジェクト「Where the Story Ends」を始めた。衣服を元に作り上げた平面作品で、12月7日まで東京・銀座1丁目の森岡書店で20点を展示している。
「これまで装いの物語を作って創作を続けてきたが、今の世の中はいろんな物語が氾濫(はんらん)しすぎていて、自分は何ができるのだろうかと無力感に陥った。そこで〝服の終わり〟をテーマに取り組んだ」と山縣は話す。和紙のようなキャンバスの作品は、白い服を粉砕した原料を使い、山梨県身延町の手すき和紙の工場ですいて制作した。過去のプロダクトの一部やトワル、ぬいぐるみ、子供服など身近なものを包み込むように繊維を幾層にも重ねている。
「衣服が遺灰のように粉になって、役目を終える。一つの物語が終わったところで何ができるのか、どのように次の物語を紡ぐのかを考えた」という。これまでの服作りで「可塑(かそ)性を持つ多層的な人間像」を表現してきた山縣だが、その延長線上で取り組んだ絵画表現でもある。これらを足掛かりに、プロジェクトとして本作りも進めている。
