阪急メンズ東京 館の7割を改装し3月15日にオープン

2019/01/30 06:29 更新


 阪急阪神百貨店は、阪急メンズ東京を大規模改装して百貨店メンズ市場の拡大に挑戦する。11年秋の開業以来、着実に売り上げを伸ばし、18年度上期も前年同期比4.6%増と増収を続けている。

 にもかかわらず改装するのは、グレードやテイストの枠を超えて「自由にファッションを楽しむ」客層の拡大を実感しているためだ。メンズ東京のキーワードを「ジェットセッター」から「クリエイティブコンシャス」に変更、館全体の約7割を改装して3月15日にオープンする。17年度実績の143億円に対し、約2割増収となる170億円(7月上旬の改装終了後1年間、売り場面積約1万1000平方メートル)を目指す。

(吉田勧)

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◆ターゲットを想定

 「インバウンド(訪日外国人)の逆風」があった16年度を除いて増収を続けてきた。インバウンド需要に加え、ハイブランドや旬のブランドの品揃えを強化するなど〝憧れ軸〟のMD重視による客単価の向上が貢献している。一方で、入店客数は減少し、ブランドや〝ファッションルール〟、テイストにこだわらない新しい客層を獲得できていないことが課題として浮かび上がってきた。

 改装に際して想定したターゲットは、ネクタイやジャケットを着用しないITベンチャーなどの「スマートクリエイティブ層」、飲食店オーナーなど個人事業主の「成功ライフスタイリスト層」、デザイナーや建築家、編集者などの「個性クリエイティブ層」。これらを「しっかり獲得する」のが狙いだ。「ファッションMDで成長し続けてきたが、違う軸でチャレンジしていきたい」(溝口博之執行役員阪急メンズ大阪・阪急メンズ東京兼阪急メンズ紳士服商品統括部担当)として、これまでのMDとは違う領域の品揃えに乗り出す。

溝口執行役員

◆ビンテージ多彩に

 ストアコンセプトは「クリエイティブコンシャスな男たちに向けた冒険基地」で、その象徴的なフロアがビンテージ&リバイバルを提案する7階。フロア中央部に設けるビンテージゾーンは、服だけでなくレコード、インテリア、眼鏡、時計、アート、家具、スニーカー、フィギュアなど多彩に揃える。周辺には、アメリカンビンテージバーバーを内包した「ダブルアールエル」などで構成する。

 6階はクリエイターズで、国内外の新進ブランドなどの自主編集売り場「ガラージュD・エディット」や、限定品を中心にした自動販売機を新設する。店全体にボリュームマーケットを対象にしたオーセンティックブランドの面積を圧縮し、アドバンスブランドを強化している。 5階にビスポークサロン、4階にオーダーサロン、地下1階にオーダーシャツや財布のパタンーンオーダーコーナーを設けるなどパーソナライズ対応を強化した。1階に2カ所、地下1階と5~7階にもイベントスペースを設け、情報発信性を高める。新規客層の獲得を促進するため、「インフルエンサーマーケティングを強化する」(同)方針だ。

ストアコンセプトを象徴する7階(パース)



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