グーグル・クラウド 変化対応に「サプライチェーンの可視性」が不可欠

2022/04/05 06:26 更新


 コロナ禍でサプライチェーンの可視性、柔軟性、インテリジェンスが限定されたものであることが明らかになった――とグーグル・クラウド・ジャパンの藤沢賢二サプライチェーン&ロジスティクスディレクターは話す。特に日本ではサプライチェーンはカスタマイズされ属人的な運用が一般的で、変化対応が十分にできない状況があるという。

クラウド予定なし40%

 グーグル・クラウドが21年10月開催したイベントでの視聴者アンケートによれば、日本ではサプライチェーンの課題として「需要予測と在庫管理」が60%超で一番多かった。「ビジネスプロセスの自動化」60%弱が続く。これまでは各社各様にカスタマイズされマニュアルで実行されており、サプライチェーン業務の自動化へのニーズが高い。

 一方で、コロナ禍で重要性が明確になった「エンド・ツー・エンドの可視性」は30%程と課題感は低い。この課題解決には分散したデータをクラウドで一元管理し意思決定することが欠かせないが、日本では「クラウドに移行する予定なし」が40%に上り、グローバル平均の12%との格差は大きい。「フレキシブル、アジャイルなエンド・ツー・エンドの可視性確立は日本ではまだチャレンジングな分野」にとどまっている。

データ統合で精緻化

 グーグル・クラウドが昨年リリースした「デジタルサプライチェーン・プラットフォーム」は、こうした状況を転換するツールとなる。物理的なサプライチェーンをデジタルで表現し(デジタルツイン)、事業の計画・運営の決定を支援する。企業の自社システム、外部のデータ資産、ビジネスパートナーに接続され、ビジネス環境をデジタル上に再現できる。

 ニュースや天候、交通などの公共データも利用、問題があった時にもAI(人工知能)・機械学習を活用したシミュレーションを基に意思決定ができる。これらによって、高精度の需要予測、最適化された在庫レベル、費用対効果も考慮したフルフィルメントのプロセス自動化を可能にする。サプライチェーンの環境への影響測定もできるようになる。

 しかし、日本では「サプライヤーのデータ不足」や「配送会社とのコミュニケーション不足」などで「DX(デジタルトランスフォーメーション)は実行したいが、データが精緻(せいち)になっていない」と踏み出せない企業少なくないようだ。

 藤沢氏は「100%入れられなくても、シミュレーションは100%のデータがなくても実行できる」という。機械学習で精度を高めサプライヤーにデータ提供のメリットを感じてもらえれば協力企業は広がる。「現時点でデータがあるところから始めることで、次のステップに進める」ことが肝要という。

 国内のアパレル関連でもデータ統合で在庫と需要のデータ精緻化に取り組み、AI・機械学習の活用でさらに精緻化を進めようとしている企業があるという。企業規模が小さくてもサプライチェーンのデータは膨大で7割の企業はこれを扱う組織を持たない。この改善にもデジタルサプライチェーン・プラットフォームが使える。「費用対効果を見ながらDXを進めることが重要」だ。

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