企業の積極的な取り組みに期待
昨年は「睡眠負債」という言葉が「流行語大賞」にノミネートされるなど、睡眠の重要性が大きくクローズアップされた。健康における睡眠への関心はますます高くなっている。快眠セラピストであり、睡眠環境プランナーとして企業の積極的な取り組みに期待を寄せる。
睡眠元年の年
――昨年は睡眠への関心が一段と高くなった。
テレビ放送などもあり、健康にとって睡眠がいかに大切かが知られるようになりました。人生の3分の1が睡眠であることはわかってはいる。それを積極的にとらえて、睡眠を改善しようという意識が多くの人に芽生えた年だった思います。
――睡眠の研究が進み、寝具も大きく進化してきた。
睡眠時無呼吸症候群など医療分野での取り組みが進み、睡眠外来の専門治療が行われるようになりました。一方、敷き寝具ではより快適な睡眠ができるマットレス、利用者に合わせて高さを調整するオーダー枕などが普及してきました。また、スマートフォンのアプリケーションも開発され、睡眠情報の「見える化」が進んでいます。
――寝具以外にも広がる。
良質な睡眠は寝具だけで解決できるものではありません。人間の五感全てに関わっています。寝室の照明や良く眠れるサプリなど、住環境や食品、フレグランスなどトータルな商品開発が進んでいます。これからは睡眠環境全体の研究がさらに広がると思います。
働き方改革の柱
――企業の関心も高まる。
政府が「働き方改革」を推進しています。地方自治体などでの講演のほか、ここ数年では企業や労働組合で睡眠のお話をする機会が増えてきました。睡眠は健康だけではなく、仕事のパフォーマンスを高めていく重要な要素です。仕事と睡眠の関係やその大切さに気づき始めているという状況でしょう。
――社会的な課題だ。
高齢化社会が進む中で、睡眠は社会全体として取り組まなければならない課題です。医療費の削減にもつながっていきます。健康を維持し、豊かな人生を送っていく上で、睡眠はますます重要になっていきます。企業が積極的に良質な睡眠を社員に啓発していただきたいと思っています。