仏「ソニア・リキエル」は18年春夏コレクションから、本国が100%出資する日本法人ソニアリキエルジャポンが日本におけるビジネスを統括する。17年秋冬をもってオンワードグローバルファッションとの独占輸入販売契約が終了するのを機に、ジャパン社が本格始動する。ソニア・リキエルを傘下に持つシンガポールの投資会社ファーストヘリテージブランドのジャンマルク・ルビエ社長兼CEO(最高経営責任者)に日本における今後のビジネスを聞いた。
(青木規子)
オンワードとのビジネスはこれまでの時代に合っており、良いパートナーシップでした。ブランドが拡大した時期を、ともに歩むことができた。しかし今後は新しい戦略が必要です。まず、多様化するライフスタイルに目を向けて、今の時代に合った強い戦略を作らなければなりません。それは我々自身がやった方がいいと結論付けました。ファーストヘリテージブランドはソニア・リキエルのほか、「デルヴォー」や「ロベール・クレジュリー」を傘下に持っています。そのうちデルヴォーはすでに日本法人が運営しており好評です。ソニア・リキエルも同じようにビジネスを進めたい。
第一の課題は、日本市場でブランドを正しく理解してもらうことです。14年に就任したアーティスティックディレクターのジュリー・ドゥ・リブランのクリエイティブをきちんと紹介していくことが重要です。イメージとともに、シルエットや素材の魅力も発信しなければなりません。どこの売り場でどんな風に受け止められているのかを知る必要もあります。
ジュリーが就任するまでの過去10年間、ブランドは縮小傾向でしたが、彼女の初コレクションの15年春夏以降、波が戻ってきました。例えば、カジュアルなデニムをソニアらしくドレッシーに取り入れたことで、若者から大人まで幅広い客層をつかむことにつながりました。
世界戦略として強化するアイテムは、アクセサリーです。これまでも強化分野だったバッグに加え、今後はシューズやジュエリーにも力を入れていきます。特にシューズは、いくつかのブランドで経験を積んできたデザイナーをチームに迎えたので注目です。アクセサリーを通して、ブランドのアイデンティティーを伝えたいと思っています。
価格構造の見直しも重要な課題です。ソニア・リキエルはラグジュアリーな存在であるだけでなく、日常的に手にとってもらえる存在にならなければなりません。安いものを作るのではなく、ブランドを好む人たちにとってアクセシブルになることが大切です。商品以上の金額で紹介したくないので、内外価格差をなくす企業努力も進めます。まずは百貨店などの売り場を通して、正しいポートフォリオを紹介していきたい。表参道の路面店はとても良い環境ですし、今後も重視していきます。来年はブランド創設50周年。動き出したばかりのチームとともに常に発信していきたいです。