デジタル時代の最強のビジネスモデルとはやされたDtoC(消費者直販)ですが、最近はあまり話題に上ることも少なくなってきました。それどころか、著名だったブランドが破綻したり休止したりと、ネガティブなニュースの方が目立ちます。理論上は優れた面もあり、実際、うまくいっているブランドもありますが、製造された商品がキャッシュに変わる前に広告コストがかさみ、延々と赤字が続くケースも珍しくありません。アパレルDtoCブランドが陥るわなについて、自分の専門であるマーチャンダイジング(MD)視点で探っていきたいと思います。
在庫が過多?
DtoCは、「Direct to Consumer」の略で、企業が自社ECサイトで、消費者に直接、製品を販売する方式を指します。簡単に言えば、実店舗を持たないEC専業ブランドと言ってよいのかもしれません。今回は実店舗を持たないEC専業ブランドについて、気になる点をつづります。
一番気になる点は、「在庫が想像以上に多いのではないか」という点です。その要因はMD力で、精度の低さにあります。
懸念される点は四つ。①標準店舗の概念がない②商品分類・管理ルールがあいまい③MD予算設計・管理を行っていない④セールをしないことが良いことだと勘違いしている――です。以下、項目ごとに話を進めていきます。
①標準店舗の概念がない
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