キャンプ用品「DOD」個性派商品、認知アップで急成長

2019/07/12 06:25 更新


 キャンプ用品ブランド「DOD」(ディーオーディー)が売れている。ユニークな視点の商品をSNSなどを駆使して自前で宣伝し、ほぼインターネットで売り切る。近年はイベント開催にも力を入れ、顧客との関係を強化している。

(杉江潤平)

キャンプブームが追い風

 DODを手掛けるのは、インテリア家具や自転車などを企画・製造するビーズ(東大阪市、大上響社長)。08年に自転車の「ドッペルギャンガー」から派生したアウトドアブランドとしてスタートし、その後ブランドを象徴するウサギのロゴマークを使い始め、ブランド名もDODに変えた。ここ4、5年は前年比20%以上の増収を続けており、今第1四半期(19年4~6月)の売上高は同30%増と伸びが際立つ。

 好調要因は、他のキャンプ用品ブランドにはない、独自性のある製品への高い支持と、キャンプブームを追い風にした急速なブランド認知の向上。例えば、売れ筋のトンネル型「カマボコテント」は、発表当時、同様のモデルを出している日本ブランドはなく注目された。

マーケットで注目されるきっかけとなったトンネル型のカマボコテント

 17年に発売し、ベストセラーとなっている「テキーラテーブル」も、DODらしさがあふれる商品の一つだ。脚とプレート部分の組み合わせ方次第で囲炉裏型になったり、ラックのようになったりと、自由自在に変形できるという代物だ。鉄製のため見た目もクールで、キャンプだけでなくインテリアとしても使える。

 いずれの商品も、個性的でSNS映えするのが特徴だ。インスタグラムのDOD公式アカウントにはおしゃれな写真が並び、昨年6月の段階で2万6000だったフォロワー数は、5万に増えた。ブランドサイトの月間PV数も、多い月で300万に達する。

売れ筋の一つであるテキーラテーブルの使用例

宣伝よりも企画に力

 販売は、独自の戦略を徹底する。卸売りはヨドバシカメラやアルペンアウトドアーズなど一部の量販店に限り、大半はアマゾンやナチュラム、楽天といった他社が運営するECサイトで販売する。直営のECサイトや実店舗は持たず、卸売りも積極的にしないのは、「販売や宣伝、営業に手間をかけるより、商品企画や商品の見せ方にこだわりたい」(寺田英志商品企画部商品企画2課課長)との考えからだ。

 とはいえ、「購入前に商品を生で見たい・触ってみたい」という消費者の声は多い。そこで、顧客との関係強化も兼ね、近年は外部イベントへの参加や自社企画のキャンプイベントの開催に力を入れている。

 昨年3月には、和歌山の廃校跡で30組のユーザーを招いたキャンプイベントを開催。今年4月には瀬戸内海にある無人島を貸し切り、キャンプイベントを行った。また、個性的な飲食店や自動車販売店などで商品を展示するなど、意外性のある異業種と組み、商品をPRするという試みも始めている。

無人島でのキャンプイベントの様子

■カマボコテントを開発した寺田氏の話

 3、4人の企画チームで、年間30~40種類の新製品を出しています。商品企画で徹底しているのは、「他と同じものは作らない」「自分たちが欲しいものを作る」ということ。ブランドサイトの製品ページの構成やインスタグラムなどにアップする画像・動画の製作も、自分たち企画チームが担っています。

商品企画部商品企画2課の寺田英志課長


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