シーズメン 「チチカカ」のネクスと資本業務提携

2017/04/11 06:34 更新


 シーズメンは、エスニック衣料・雑貨販売のチチカカを子会社に持つネクスグループと資本業務提携を結んだ。シーズメンはネクスグループに対して第三者割当による自己株式の処分も行い、ネクスグループがシーズメンの普通株式18万5400株(シーズメンの発行済株式総数の19.01%)を取得し、筆頭株主となる。

(友森克樹)

 今回の提携は、幅広い分野で協力できるパートナーの構築と自己株式を活用した資金調達による財務体質の強化を狙っていたシーズメンが、昨年9月に仲介業者からネクスグループを紹介されて話が進んだ。ネクスグループは、チチカカとシーズメンがマーケティング上の協力関係が築けるほか、グループで目指しているファッション業界向けのIoT(モノのインターネット)関連サービスの開発と普及にもプラスになるとみて、提携に至った。シーズメンは9140万2200円を調達し、借入金の返済に充てるなど財務体質を強化し、経営を安定させる。

 シーズメンは今後、チチカカおよびネクスグループのノウハウを吸収し、商品力、販売力、ECを強化するほか、コスト削減策の共同立案などを検討している。経営体制を強化するため、5月26日付でチチカカから役員2人を迎え入れる。

提携機に事業戦略を再構築 改革の速度上げる

 シーズメンが変わろうとしている。エスニック衣料・雑貨販売のチチカカを子会社に持つネクスグループと資本業務提携契約を結んだ。今期(18年2月期)は同グループのノウハウも活用しながら、改革を進める。通期業績は店舗減の影響で減収を見込むものの、既存店売り上げは横ばいを維持、コストを削減し、黒字化を目指す。

 3月31日付で社長に就任した青木雅夫氏は、この間の業績不振について「本来、当社の得意分野はニッチなマーケット。しかし、ここ数年は売れる商品開発に走り、個性が薄れた。その結果、大規模マーケットと同質化し、客が離れた」と分析。資本業務提携については、「自社の力のみで改革を試みてきたが、スピードが足りず、結果が出なかった。取り組んできた方向性に間違いはなかったが、外部の力を借りた方が良いと判断した」と述べた。前期は雑貨やレディスの拡充、店舗別MDの構築などを進め、売り上げが10~20%回復している店もあった。

 今期のテーマは「事業戦略の再構築」。ネクスグループの中で同業種のチチカカのノウハウを活用し、既存業態の見直し、商品力・販売力・EC販売の強化、コスト削減に取り組む。

 「チチカカがたけている」とする顧客分析を学び、既存業態「メソッド」「流儀圧搾」のターゲットを明確化するとともに、業態コンセプトを再定義する。特にこの間、同質化が進んだメソッドの立て直しに注力する。バッグなど服飾雑貨中心の新業態開発も検討する。

 商品では、新PBの企画・投入のほか、品揃え、サプライヤーの見直しを進める。個性が明確な商品を増やしたい考えだ。販売では、チチカカと人材交流・共同トレーニングを実施するほか、VMDや接客に関する共通インフラを整備する。ECでは、「好調に推移している」というチチカカのECノウハウを吸収し、共同で専門チームを編成する。コスト削減について、物流機能の集約や出退店交渉機能の一元化、管理機能の共同化などで経費を削減する。

 今期は出店、退店ともゼロの予定だが、前期に20店を閉鎖したため、通期売り上げは46億7000万円(前期比11.3%減)を見込む。既存店売り上げは上期7%減も、改革の効果が表れる下期は7%増を計画する。粗利益率を高める一方、販売・管理費率を下げ、営業利益3000万円(前期は3億9700万円の赤字)と黒字化を目指す。

16年11月に改装した「流儀圧搾」イオンモール羽生店は、客の声や立地特性を加味し、レディスや雑貨強化に取り組んだ



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事