前回は、購入型クラウドファンディングを成功させるための考え方や必要な準備、取り組みに関するポイントについて書かせていただきましたが、今回も引き続き、より具体的な内容についてご紹介します。
成功するプロジェクトの大半が目標金額の約3分の2を既存のネットワークや信頼関係の延長線上で支援・購入を募っているということは前回触れましたが、では実際にその3分の2を集めるために必要な準備にはどのようなものがあるでしょうか。
まずは、誰に対してアプローチするかを整理する必要があります。既存のネットワークや人間関係、取引先や会員など、プロジェクトの紹介をするのに適切な方々をしっかりと網羅する作業が重要になりますので、形式は問いませんがきちんとリスト化しておきましょう。失敗するプロジェクトの大半が、まずこのプロセスを徹底できていません。
次にその方々に対して、どのような形でプロジェクトの内容を紹介したり、支援・購入を募るかというコンセプトを固める必要があります。既存のネットワークに対してアプローチするとはいえ、クラウドファンディングにおけるプロジェクトの内容や取り組む意義をわかりやすく明文化しておかないと、スムーズに進めることは難しいのが実情です。
なぜそのプロジェクトに取り組むことになったのかという背景や思い、そしてプロジェクトの独自性や新規性、社会的意義、または提供する製品やサービスの詳細な情報やメリットなどを丁寧なストーリーで伝えることで「共感」を生むことが非常に重要になります。そうすることで、アプローチした方々からの協力を得やすくなったり、その方々がさらにSNS(交流サイト)などを通じて情報を発信してくれることが期待できます。
併せて、その方々に対してどのようにアプローチしていくかを検討します。基本的にはフェイスブックの友達やツイッターのフォロワーなどのSNS上のグループやコミュニティーに対していっせいに告知することは有効な手段の一つであり、個別でメールやメッセージを送ったり、電話や直接会って説明することも重要です。
場合によっては、既存の会員などに対してのメールマガジン配信や、自社のウェブサイトやブログサイト上での露出に加え、オフラインの店舗での展示やイベント・セミナーでの告知も高い効果を生みます。一見当たり前に見える地味な作業も多いですが、このようなプロセスを徹底することで着実に成果が上がるのがクラウドファンディングの特徴です。
次回は残りの3分の1をいかにして集めるか、さらに目標金額を超えて大きな金額を集めたり、より多くの人に支援・購入していただき、テストマーケティングとしての成果を最大化させるために必要な準備やポイントについてご紹介していきます。
(北嶋貴朗・Relic代表取締役CEO)
