入門・クラウドファンディング② 大きく3分類で

2017/12/29 17:00 更新


 前回は「クラウドファンディング」の基礎的な知識や概要について書きましたが、今回は複数の形態に分類されるクラウドファンディングの詳細と、それぞれの特徴をご紹介します。

 表は外部の調査機関の統計リポートに加え、弊社が実施した調査内容や類推・知見を独自にまとめたものです。この通り、クラウドファンディングには大きく分けて寄付型、購入型、金融型の三つの分類があります。また、さらに詳細に定義すると、金融型クラウドファンディングの中でも融資型、投資型、株式型に分かれます。それでは、この分類はおのおのどのように定義されているのでしょうか。

 前回お伝えしたとおり、クラウドファンディングは、「不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと」です。その資金提供を実施してくれた支援者に対し、「何をリターン(報酬)として提供するか」によって分類が定義されます。

 例えば、寄付型クラウドファンディングの場合は、その名の通り「寄付」になるので、支援者に対して何もリターンを提供しないということになります。ただし、寄付型の場合は資金を募集する主体となる組織の形態や集めた金額の総額によっては贈与税や受贈益等の対象になり、想定以上に課税され、集めた資金が思いのほか手元に残らないというケースもありますので、資金を募集する方は注意が必要です。


 購入型クラウドファンディングは近年非常に高い市場成長率を誇り、また一般消費者の方が普段接しているメディアで取り上げられることも増えてきたため、恐らく最も認知度や理解度が高い形態と推測されます。

 購入型は、支援者に対して「物品またはサービス」をリターンとして提供する形態を指し、法的には特定商取引法の通信販売に該当します。「ファンディング」という言葉が誤解を招く要因となっていますが、実際はネット販売やECと同様の位置づけであり、資金を募集する方は支援者の方に対して物品やサービスを「販売」し、支援者は「投資/出資」ではなく、「消費/購入」すなわち「ショッピング」を行っているということになります。そのため、購入型で集めた資金は、会計上は売り上げとして計上されます。

 金融型クラウドファンディングは、詳細な分類によってリターン内容は異なりますが、いずれも「金融商品取引法」が関わる形態であり、サイト運営事業者は金融商品取引業者としての登録・認可が必要です。元々は法規制が厳しい領域でしたが、最近では国内でも徐々に規制が緩和され、参入する事業者が増えつつあり、今後の成長に期待が集まっています。

 次回は、活用する事業者が急増している購入型クラウドファンディングを中心に、その成長の背景や具体的なメリットについてご紹介します。

(北嶋貴朗・Relic代表取締役CEO)

きたじま・たかあき 大企業から中小・ベンチャー企業まで延べ100社以上の新規事業開発やオープンイノベーション、マーケティング/営業を支援。自社で運営する複数のクラウドファンディングサイトや、マーケティングオートメーション/CRM/SFAサービスも展開



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事