アパレル・ファッション業界では、コロナ禍で落ち込んだ求人数が回復傾向にあり、21年度はDX(デジタルトランスフォーメーション)をキーワードに採用を強める動きが出てくる。クリーデンスが19年6月~20年11月の求人動向から予測した。
20年9~11月の求人数は全体で前年同期比16.2%減で、正社員は7.7%減、契約社員は44.6%減と前年割れの状態が続いた。求人数が前年を上回った職種はデザイナー、営業、EC・通販関連の三つ。店長など販売職は厳しいが、ラグジュアリーブランドやデザイナーブランドは採用活動を再開した。EC・通販関連は引き続き好調で、求人数は全業種で最も高い結果となった。
20年はコロナ禍の影響でアパレル・ファッション業界は厳しい年だったが、業界全体で遅れているIT化を加速させるため、多くの企業が動き出した。20年2月以降、企業が採用活動を中断し人員配置を最適化したため、求人数は大幅に落ち込んだ。一方で、EC、SNS、ライブコマースの運用やデジタルマーケティングに関する人材はコロナ下でも採用意欲が高く、EC・通販関連の求人数は前年同月を上回る傾向が続いた。
同社は21年の「求人数は回復」と予測する。特に、事業運営の観点でDXを考えるポジションやマーケティング、EC、生産管理といったDXと関係が深いポジションは企業ニーズが高まり、採用の動きが活発化すると見ている。
また、コロナ下でスポーツ・アウトドアに人気が集まり、スポーツ・アパレルブランドの売り上げは好調に推移している。加えて、消費行動の変化によるリユースビジネスは右肩上がりで成長し、これらの業種の採用ニーズは高まると推測。業種や職種によっては、求人数は「21年のうちに新型コロナウイルス流行以前に戻るか、それを上回る」と予想する。ただし、アパレル・ファッション業界の就業人口の大半を占める店長・販売職は、実店舗を閉店・縮小する企業が多く、求人数はコロナ流行以前の状態に戻るのは数年かかると予測している。