COLUMN from JFW-IFF FBの可能性、力を見せる場に

2014/06/27 10:34 更新


 菜種油の黄金色、寿司に使うワサビ色が流行したのは江戸中期のこと。この時期は江戸3大飢饉と呼ばれる享保の大飢饉(1732年)や天明の大飢饉(1782~87年)に見舞われ、多くの餓死者が出ました。中でも天明の大飢饉は最大の被害が発生したと伝えられています。

 実は、寿司、てんぷら、うなぎの蒲焼などが誕生し、屋台が庶民に広がったのが江戸中期です。そうした食文化の中から流行色が生まれたのです。

 現代の日本を代表する人気料理が飢餓の中で庶民が育てあげたことも驚きですが、私たちの先祖は食うや食わずでもオシャレ心を失わなかったことに感銘します。

 背景には醤油やお酢、食用油などの生産が関東に広がり、量産が始まったこと、つまり生産と流通の発展があったのです。それがなければ、流行色は生まれず、人々のニーズは満たされなかったはずです。翻って今は低価格品が大量に溢れ、世界の高額なブランド品も苦労せずに手に入れることができます。ネットで検索して容易に買うことも可能ですので、今の供給体制や流通事情ならば、もっと多様なニーズがあって、たくさんの消費者ニーズに応えることができるはずです。ところが、現実にはコスト圧縮や利益の追求ばかりが優先されていているのです。

 生活の中での豊かさや幸福感を満たす上ででファッションや食の役割は小さくありません。まして天変地異の中でも人生を楽しみ、しゃれっ気を見失わなかった先祖がいて、そのDNAを持った私たちが作り出すファッションは生活にハリを与え、楽しみを創出できると考えられます。今の経済、社会はそうしたファッションの力を必要にしているのです。

 そうしたファッションの可能性とファッションビジネスの未来が感じられる場にJFW-IFFがなればと思っています。(2014/06/20、展示会のお知らせのコラムより)



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