「商売の世界は、凡人でも非凡な成果を得ることができる。それがチーム力のすごさ」と、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は著書『経営者になるためのノート』で語っている。激動のアパレル業界で、「組織コーチング」を通じた〝集団天才〟(コレクティブ・ジニアス)の力を活用し、V字回復・成長する企業が出てきた。その組織コーチングとは一体何なのか。事例を交えて紹介する。
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汗は脳にかけ
「アパレル業界のサービスや利便性のレベル争いが年々激しくなっている。社内には停滞モードが漂い、売り上げも利益も下がってきている。どうにかしたい」。アパレル企業社長からいただいた、実際の悩みの声である。その会社は組織コーチングを導入し、集団天才の力を活用した結果、5年で売上高は4倍以上に、営業利益率は半年で2.2倍以上に上昇した。
「日々の業務に『脳に汗をかく感覚』と『ワクワク』が生まれた。以前は『忙しい、忙しい』と言って、手を動かしていたが、脳に汗をかいてなかった」とその社長は話す。
上場企業から社員十数名のベンチャー企業まで、一定期間、組織コーチングを実践している企業に共通して言えるのは、社員を大幅に入れ替えずとも、業績がV字回復している点である。別のアパレル企業は、過去数年、売り上げも利益も右肩下がりだったにもかかわらず、1年で過去最高売り上げを実現するまでになったのだ。
失敗こそ金脈
ただの個の集まりと、集団天才が働くチーム・企業では、日々の行動やコミュニケーションはもちろん、「成果」に圧倒的な違いが生まれる。集団天才は色々な意味で使われるが、筆者が考える重要な点は二つだ。
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