【軌跡】《社会貢献をビジネスに 再び走り出すチクマ㊤》輸入毛織物商の先駆け

2024/02/05 11:30 更新会員限定


創業当時の竹馬隼三郎商店

 2月に創業121年目を迎えたチクマ。ビジネスユニフォーム、学生服が主力の繊維専門商社だ。現在、会社を貫く大きな事業テーマはカーボンニュートラルに向けた取り組み。業界でいち早く行動に移し、先頭を走ってきた。「社会貢献をビジネスに結び付ける。CSV(共有価値の創造)の考え方がなかったころからのチクマの社是」というのは現社長の堀松渉。そんな同社も創業100年の節目には〝会社存亡の危機〟に直面した。そこから財務体質を徹底的に改善する守りの経営にかじを切る。その期間は「我慢の14年」。苦い経験を糧に経営再建を果たし、130年へ向けて再び走り出した。

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洋服時代の到来予見

 チクマの歴史は、時代の先を読み、世の中に役立つ新しい価値を生み出そうとするチャレンジの繰り返しだ。それがチクマの発展を支えてきた遺伝子といえる。

 同社は明治36年(1903年)、のちに初代社長となる竹馬隼三郎(旧姓は梶原)が神戸市元町で始めた日本初の輸入毛織物を扱った羅紗(らしゃ)商「竹馬隼三郎商店」が起源だ。隼三郎が27歳の時、同じく元町にあった剣菱屋呉服店を営む竹馬利兵衛の次女と婿養子の縁談がまとまり、竹馬家に入家した。最初は利兵衛のもとで呉服店を手伝っていたが、「これからは日本も洋服の時代になる」と確信し、毛織物の一種である羅紗に着目。利兵衛に羅紗商の将来の見通しと計画の確実性を語り、29歳で竹馬隼三郎商店の看板を掲げた。

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