10月1日から消費税率10%施行が予定されている。導入見送りなどの議論は続いているものの、すでに小売業界では消費税引き上げと同時に、キャッシュレス決済を行った場合に最大5%のポイントを還元する政府のキャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)といった軽減税率対策に向け、キャッシュレス化のレジ対応が進んでいる。
ファッションの中小小売業者も、軽減税率対策補助金制度(中小企業・小規模事業者を対象に、複数税率に対応するレジの導入や受発注システムの改修などの費用の一部を国が負担する制度)利用も進んでいるようだ。スマートフォン決済の導入の動向について、個店へアンケート調査を実施した。
◆スマホ決済導入進む
「導入した」が回答企業の6割を超え、「導入予定」を加えると、8割以上が増税時にはスマホ決済ツールを自店に入れることが分かった。スマホ決済に対応する動きは活発になっているといえる。
◆意外な「オリガミペイ」
導入した(する予定)店に絞って回答を得た。最近話題となったツールから既存のものまでが挙がった中で、「ペイペイ」が他ツールを引き離しダントツだった。テレビCMキャンペーンなどの知名度に、初期導入費無料、個店が導入しやすい決済手法、キャッシュバックなどが関係していると想定できる。
次いで「楽天ペイ」「オリガミペイ」を導入している結果になっている。楽天ペイは楽天市場に出店していない店も導入していた。オリガミペイは決済で取得できるデータの開放領域が他決済サービス会社よりも広いため、期待する部分があるかもしれない。
◆クレジット決済は浸透
細かく数値回答してもらっているが、「50%以上がキャッシュレス決済」が65%を占めた。ちなみに「80%以上キャッシュレス」と回答した店は25%と4分の1あり、ファッション店はキャッシュレス自体が進んでいることが分かった。
◆「5%以下」95%占める
「5%以下」が95%を占めており、まだまだ利用率は低いことが分かる。利用率がかなり低いことは想定されていたが、むしろ「20%以下」までになっている店が出ていることに驚く。
◆2度以降では便利?
「上がる」「ファッション購買には使われない」「社会情勢次第」「分からない」から選んでもらったが、「上がる」が一番多かった。「スマホにアプリを入れて設定するまで面倒だが、一度入れるとお得で簡単なため、継続して利用される方が多い」「現段階のように利用者にメリットがあれば確実に利用率は上がる」というコメント通り、利用する客にとってメリットがあるかどうかで、利用率は変化しそうだ。
「ファッション購買には使われない」を選んだ店も多い。食料品と違い高額品が多いこと、クレジットカードから変える理由が薄いこともあるのだろう。
◆レジ変更の機会だが…
「導入しない」が多く、「未定」を含めると6割を超えた。ファッション商材だけ販売している店舗では、複数税率対応レジは不要なためと思われる。ただ補助金が出るこの機会に「導入した」店は17%ある。
◇◇◇
アンケート調査では、①スマートフォン決済ツールは導入したか、②「導入した」「導入予定」を選んだところでは、どのスマホ決済に対応したか、③現在のキャッシュレス決済(クレジットカードなど含む)の利用率、④キャッシュレス決済のうちスマホ決済サービス利用率、⑤スマホ決済の利用率は上がると思うか、⑥複数税率対応レジは導入したか――の6質問を取った。有効回答は23社。
(繊研新聞本紙19年7月25日付)