日本再発見をテーマにした「ビームスジャパン」のオープンから、過去40年のファッションの歴史を振り返るプロジェクトまで、昨年は創業40周年にちなんだ様々なイベントや仕掛けを打った。一連の取り組みは41年目以降に向けての種まきの意味があったという。
“ウチに求められているものをもっと売る”
■41年目は収穫の年に
――昨年は様々な周年企画を行った。
協業商品や店頭イベントも増やしました。日本再発見を切り口に新宿のビームスジャパンをリニューアルし、ビームスが生まれてから40年間のファッションの歴史を振り返る「トーキョー・カルチャー・ストーリー」も仕掛けました。
協業商品は例年以上に売れ、店もプロジェクトもファッション以外のメディアからも注目を集める結果となった。思惑通りのブランディングができました。問題は41年目の今年、これらの仕掛けをビジネスの果実としていかに刈り取っていくかです。
――周年の取り組みには物販と直接関係ないものもあった。
トーキョー・カルチャー・ストーリーは、単純に40年分の社史じゃなく、ビームスを取り巻く東京のカルチャーの変遷、時代の変化を振り返り、その中でビームスが何をやったかを示したかった。即商売に効果がなくても5年、10年後に何らかの影響を持つと思う。
ビームスジャパンもビームス=東京、あるいは日本という認知を作れたと思います。一連の取り組みは、ビームスが今後、何を目指していくのかをファッション以外の業界にも伝え、新たな取り組みを具体化していくステップです。
今年は上期だけで海外5、6都市にジャパンのコンテンツを持って行き、ポップアップで紹介します。海外市場ではビームスで買いたいモノとしてメイド・イン・ジャパンへのニーズが高い。中国製の服ならほかで買うよ、ってことです。だったらウチに求められているものをもっと売る。
“市場は自らが作り出す”
■人をつなぎ自ら作る
――今後、ビームスが目指すものとは。
SNSN(交流サイト)で得られる情報やそこを通じて人が知ったモノのほうが売れる。必需品は別として、ほかはシェアしたり、借りたりで済ませることが多くなった。ファッション小売りであるわれわれも、売り方や売るモノも今までと違う形に変えないと、先細りになる。
目指しているのは店というステージを持つ企画集団です。名前でなく、知恵を貸すビジネスを増やしたい。昨年は青山商事とライセンス事業をやった。これを学校制服や白衣にも広げていく。目利きを生かしたキュレーションもやるし、この間のブランディングの効果から異業種からの声掛かりが増えているので、今後はビームスの店以外で売る協業商品もどんどんやっていきます。
――服以外をビジネスにしていくのか。
世の中が激変していて、それはこれからも猛スピードで続く。市場を自ら作り出さないとモノが売れない。服が柱であることは変わらないが、それでは服好き相手の商売にしかならない。服と関係ないこともやることで、服に興味のない人にもビームスを知ってもらい、来店につなげたい。
当社には服以外のことでも、一芸に秀でた人材がいて、彼らにお客様が付いている。メンズのドレスウェアの販売員がイタリア製の単車に合う服を企画したりとか、お客様の声を聞き、それを形にできる人材がいることは、他社にない強みです。
人材が店を通じてお客様とつながり、それが他社も思いもつかないような新たなビジネスのアイデアに結びついて、異業種とのコラボレーションも生まれる。ステージを持つ企画集団とはつまりそういうことです。今後はこうした人材のマネジメントもやっていこうと考えています。