今期も売り上げ順調なアトレ 前年同期比4%超ペース

2019/02/28 06:26 更新


一ノ瀬社長

 アトレは地域の消費者ニーズに対応した改装とES(従業員満足)強化策などが実り、業績が順調だ。19年3月期の国内全施設の合計売上高は今年1月までで前年同期比4.2%増となり、通期で増収になる見通し。今年1月10日に台湾・台北市中心部に開業したアトレ業態の海外1号店の売上高も「計画を大きく上回っている」(一ノ瀬俊郎社長)。来期も複数の施設で改装する。JR土浦駅ビル「ペルチ土浦」から業態転換し、昨年3月に第1期がオープンした体験型サイクリングリゾート施設「プレイアトレ土浦」などで事業領域を拡大する。

(有井学)

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 今期は全体として衣料品が厳しい中で、雑貨や食品などがけん引した。「各施設の立地や地域特性に合わせて、業種別MDのバランスを取ってきたことが健闘要因」とする。施設別の売り上げは昨春に本館のファッション、雑貨、食物販などを大型改装したアトレ恵比寿、昨年2月に大型改装を完了し、駅ナカを新設するなど増床して食物販を拡大した川崎、同3月に増床した浦和のほか、大井町、目黒、基幹の吉祥寺などが順調だ。

 テナント従業員の人手不足に対応するとともに、「テナントと一体となった運営を進める」目的で、ここ数年重点的に取り組んできたES施策も売り上げを下支えしている。「各施設の店長がテナントの声を聞きながら、工夫を凝らした施策を行い、実を結んでいる」という。川崎では昨年の七夕の際に「クルー(テナント従業員)の夢をかなえる企画」として、家族との温泉旅行のプレゼントなどを行い、好評だった。

 テナントの労働環境を改善するため、今年1月1日に川崎を初めて休館し、全施設を元日休業にした。川崎は近隣の川崎大師の初詣客が多いため、駅周辺の他の商業施設は元日も営業しているが、「テナントからの休館してほしいという要望に応えた」。元日休業の1月の売り上げへの影響は「あまりない」という。今年は秋葉原を1月2日も休館にした。また、テナントの採用支援のため、昨年から全施設で求人サイトを開設した。

 台湾は現地の大手ディベロッパーの微風(ブリーズ)、三井物産との共同出資会社が、同日に微風が開業した商業施設「微風南山」内に1号店を出した。3フロア・51店で、雑貨を39%、ファッションと飲食を各20%、食物販を18%とし、日本のテナントを全体の6割にした。「ビームス」「ニコアンド」などやフルーツ店を中心にした日本の食物販、米国のカフェ「ブルーボトルコーヒー」の物販併設店などが好調だ。「日常とラグジュアリーの間を狙った施設は現地にあまりなく、他と違いが出せた。日本に親しみを持つ消費者が多いのも要因」とする。台湾での2号店開設も検討する。

 来期は昨年11月に1~2階の食物販を改装した松戸が4月25日に7階レストランフロアを全面改装オープンする予定。さらに亀戸の5階の文化・雑貨ゾーンを春、秋葉原の1階飲食ゾーンを夏に改装する。

 プレイアトレ土浦は1期で地下1階と地上2階の改装を終え、来期以降、他フロアを改装する。

 JR取手駅ビルのボックスヒル取手も土浦と同様に従来の物販主体のビルから転換し、将来は「アートをテーマにした施設」にする方針だ。現在、JR東日本や取手市などと協議している。



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