エニーマインドグループ(東京)のアパレルブランド「ヴィエディット」は、25~26年秋冬ニューヨーク(NY)ファッションウィークで、ランウェーショーを行うことが決まった。「プレイボーイ」をテーマに、「言葉や文化が通じない国でも一目で格好良いと思ってもらえるようなコレクションを見せたい」という。目下、製作中だ。デビューしてまだ1年、ECで販売するブランドとして、異例の抜擢(ばってき)となった。
(松本寧音)
人生を編集する服
クリエイティブディレクターは、デザイナー兼SNS総フォロワー数約13万人のファッション系インフルエンサー、Yuki Otakeさん。23年11月から「ゾゾタウン」で販売を始めた。
アパレル業界でのキャリアの始まりは18歳。販売員をしながら、趣味のグラフィックデザインを生かしてSNSで発信していたところ、「エドウイン」「ハレ」などからオファーを受け、協業した経験がある。19歳から3年ほど自身のブランドも運営していた。
しかし、服作りと向き合えば向き合うほど「服作りを一度もきちんと学んだことがない」ことがネックに。国内での物作りやデザインの引き出しを増やして再びブランドを出そうと、メイド・イン・ジャパンで生産するコレクションブランドのデザイナー兼生産管理に、23歳の若さで就任した。自ら課していた「2年、ここで学ぶ」ことを終えて、晴れてヴィエディットを立ち上げた。
コンセプトは、フランス語で人生の「VIE」と英語で編集の「EDIT」を組み合わせたブランド名の通り、「人々の人生を編集する服を作る」ということ。「自分自身、服と出合って人生が変わった」からだ。特に、デザイナーブランドに憧れを持つ人をターゲットにする。目指すところは「デザイナーブランドの一歩手前。ベーシックの出口で、ハイファッションの入り口」とOtakeさんは話す。
ブランドを象徴するのはトランスフォームするデザイン、コードレース、硫化染めなどの加工だ。24年秋冬は袖が外せてベストにもなるビンテージ風のライダーズジャケット、スリーブレスのフーディーなどがある。ジャケット2万円台、シャツとパンツ1万円台後半。ターゲットに寄り添った、手に取りやすい価格設定が魅力だ。
海外のユースに
立ち上げ当初から海外を見据えていたため、サイズ感はどれも大きめ。現在自社ECとゾゾタウンで販売しており、「今後、海外での卸を強化していきたい」という。
そんな折、声がかかったのがNYファッションウィークへの参加だ。「デビューコレクションを見た」という関係者から、公式スケジュールでの発表でオファーが届いた。「海外のユース(若者)に興味を持ってもらえるよう、NYで印象付けて、韓国や中国で売りたい」という。海外展開の足掛かりになればと期待する。