エチオピアで作るハイエンド&エシカル皮鞄

2016/01/13 06:40 更新


 エチオピアで一流を作りたい――。バッグブランド「アンドゥ・アメット」は、青年海外協力隊員として派遣されたエチオピアを持続可能な形で支援したいと考えた鮫島弘子代表兼チーフデザイナーが作るエシカルなバッグブランド。

 しっとりと柔らかなエチオピアの羊革をふんだんに使い、エチオピアで生産する。鮫島さんの生き方への共感や、革の触感の柔らかさ、アフリカと日本の文化を融合させた独自のデザインから、生産が追いつかないほど人気になった。そのため、14年には期間限定店を閉め、同12月からはオンラインショップの受け付けも休止していた。15年、安定した質と量が確保できる体制が整い、12月にオンラインショップを再開。今年3月には期間限定店も再び出す。


 鮫島さんが化粧品会社でデザイナーとして働いていた頃は、大量生産・大量消費、コストを求めて下げるための生産地の海外移転という時代。「自分のやりたいこととは違う」と、青年海外協力隊に応募した。派遣されたエチオピアでは、行き倒れの人があちこちにいるような現実にショックを受けた。「デザイナーとして自分に何かできることはないか」。目を付けたのが欧州の高級車のシートにも使われる羊の原皮だった。

 当時、エチオピアは加工技術が低く、原皮で輸出していた。「なめした革であれば価値は高くなる。製品になればさらに価値が上がる」。そう思い、「エチオピアの宝である羊革と、アフリカの中では真面目な気質の職人、日本人の自分のデザインスキルを組み合わせ」、世界に通じる一流ブランドを作ろうと決めた。

 ブランド名は現地の言葉で「ひととせ」(一年)という意味。物を長く大事に使ってほしいと考える鮫島さんにとって、長く使え、経年の味を楽しめる革は理想的な素材だった。バッグを作ろうと思ったのは、いつも一緒にいるパートナーのような存在で、トレンドにも左右されにくいアイテムだからだ。


【鮫島弘子さんプロフィル】

エチオピアの柔らかなシープスキンをいかしたバッグを作る鮫島さん。右奥が新たに立ち上げるユニセックスの「リラックス」
大学卒業後、化粧品会社でデザイナーとして勤務、02~04年青年海外協力隊としてエチオピア、05年にガーナへ派遣。帰国後ラグジュアリーブランドのマーケティングなどを経て12年に日本法人アンドゥ・アメット、15年にはエチオピアで現地法人アトリエ・アンドゥ・アメットを設立した。

続きは繊研新聞で



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