ファッションレンタルのエアークローゼットはシェアリングビジネスに特化した倉庫管理システム(WMS)を独自開発した。すでに自社物流システムとして運用を開始しているが、今後は外部企業に提供してプラットフォームにする。新規事業としてレンタルなどシェアリングサービスを検討している企業の市場参入を後押しする考えだ。
一般的な物流は商品を配送するという一方通行が基本だ。しかしファッションレンタルは必ず返送が発生、それをメンテナンス・検品して保管し、次のユーザーに配送するという「循環型物流」の構築が不可欠になる。同社は創業当初から物流専門チームを設け、物流の仕組み作りと基盤強化に取り組んできた。
19年には洗濯可能なICタグを活用して全てのアイテムの個品管理(レンタル・クリーニング・品質の状態を個品ごとに管理)することで倉庫内での出入荷の作業効率を改善。コスト削減によって創業7期目の21年6月期には初の通期黒字化にも結びつけた。配送領域では三菱商事のセルフ返品サービス「スマリ」や、マジカルムーブのAI(人工知能)宅配サービス「スキャッチ」などを導入して客の利便性も向上させている。
こうした循環型物流を一から構築することは時間とコストがかかり、アパレル企業などが新規事業としてファッションレンタルサービスを立ち上げる際の障壁になる。そこに着目し、同社の物流基盤を外部に提供することにした。
エアークローゼットは複数ブランドの中からスタイリストがコーディネートを組んで客に届けるサービスが基本だが、22年からは単独ブランドでスタイリングするプランの開始を予定している。ファッション企業は同社の物流プラットフォームを活用すると、「洋服を提供するだけで手軽にレンタルサービスを始められる」ことになる。
すでに3月には3カ月の期間限定で「ミラオーウェン」「ナノ・ユニバース」と取り組んだ。利用客は「普段そのブランドの洋服を購入していない客が9割」という結果になり、既存顧客とはかぶらずに、新規顧客へのアプローチできる効果が期待できることもわかったという。