5分でわかる アダストリアの最新動向

2016/11/01 10:51 更新


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 1953年、茨城県・水戸で「株式会社福田屋洋服店」として設立されたアダストリア。現在、売上高2000億円(16年2月期連結)、店舗数1300店以上の大手カジュアルチェーン専門店に成長した。ものづくりの改革によるSPA(製造小売業)体制構築、ライフスタイル分野の拡大、EC事業への投資など、同社の新しい挑戦は業界からの注目度も高い。

 繊研新聞社が実施した学生の就職意識調査(ファッション専門学校の17年春卒業予定者が対象)でも、注目企業1位に躍り出た。「グローバルマルチブランドファッションSPAカンパニー」を掲げる同社の、最新の動きを紹介する。

 

《マルチブランドで世界へ》

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(同社HP ビジネスモデル・事業内容から)

 

 アダストリアは現在、17ブランドを販売している。このうち実は、売上高100億円以上のブランドが六つもある。一番大きいのが、テレビCMなどでも認知度を上げている「グローバルワーク」で361億円(16年2月期)。「ローリーズファーム」256億円、「ニコアンド」228億円、「スタディオクリップ」205億円、「レプシィム」150億円、「ジーナシス」125億円と続く。

 同社は海外でも事業を展開している。グローバルSPA企業の多くが、特定の主力業態を売り上げの柱にしているのに対し、同社はマルチブランドこそが、グローバル市場で他社と差別化し、闘っていく上での強みととらえている

 例えば、グローバルワークがメンズ、レディス、キッズ、ローリーズファームがヤングレディス、ニコアンドがライフスタイルといった具合に、性質の異なるブランドを複数所有することで、幅広い客層に対応する。海外ではアジアを中心に販売してきたが、新たに北米市場のリサーチも始めており、16年4月、カジュアルウェアの現地企業に10%出資した。

 マルチブランド戦略に17年春、新しいブランドが加わる。グローバル市場を想定したSPA型ライフスタイル業態「ラコレ」だ。ファッションだけでなく、キッチン、バス、インテリア関連など、日常生活に関わる商品をトータルで扱う。年齢、性別、販路を問わない業態として、大規模の業態に育てる。企業売上高2000億円の次のステージを目指し、主力のグローバルワークを含め、世界に通用する枠組み作りを進めている。

 

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「ラコレ」の展示会の様子

 【関連】アダストリア来春、大型新ブランド

 

《ライフスタイル分野の開拓》

 アダストリアはファッション企業として、いち早くライフスタイル分野を開拓してきたことでも知られている。その代表ブランドが、07年にスタートしたニコアンドだ。店内にはレディス、メンズの服だけでなく、食器や文具、インテリア商品などを並べ、滞在型のわくわくする空間を作り出した。

 さらに、コーヒー店を併設したりオリジナルの家具を始めるなど、ライフスタイルをより豊かにするためのコンテンツ開発を続けている。特に、東京・原宿の旗艦店「ニコアンドトーキョー」では、ニコアンドの最新のチャレンジを見ることができる。

 ニコアンド事業などで培った雑貨の運営ノウハウは、新ブランド、ラコレを立ち上げる上でも大きな強みになるだろう。加えて、カフェ・カンパニーとの新会社設立(16年11月ごろ)も予定されており、飲食を含むライフスタイル分野の次なる展開が注目される。

 

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「ニコアンドトーキョー」

《生産~販売の一体化》

 近年、アダストリアが全社的に力を入れてきたのがものづくりの改革だ。15年にはグループ会社の商品企画・生産機能を本体に統合し、「店頭起点の小売型SPA」という発想のもと、ものづくりから販売までが一体となった体制を構築した。また、自社生産機能を活用しつつも、グループの各ブランドの規模や特性に応じ、計画生産とQRをうまく使い分けられるように軌道修正してきた。

 こうした取り組みの成果を象徴するのがグローバルワークだ。ブランド規模が大きいため、計画生産を活用した品質向上という手法にもうまくはまった。組織の見直しも行った結果、価値を高めた商品を適切な価格で提供できるようになり、業績を伸ばしている。

 

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「グローバルワーク」

 

 ものづくりの改革の成果について、福田三千男代表取締役会長兼最高経営責任者(CEO)は16年9月の会見で、「10年のチェンジ宣言以降、OEM、ODMに頼ったビジネスモデルからの脱却を目指し、企画生産から店頭までの垂直統合に取り組んできた。試行錯誤の末、ようやく他社と差別化された、誇りを持っておすすめできる商品が作れるようになった」と話している。

 さらに、16年度下期にはR&D室の設置も計画している。デザイナーやパタンナーの人材マネジメントや、素材レベルからの商品の差別化などを進め、「日本一のR&D室を作る」意気込みだ。

 

《コーポレートブランディング》

 もう一つ、力を入れているのがアダストリア自体のブランディングだ。16年6月から新しい企業ロゴを導入し、企業のミッションや行動規範も策定した。コーポレートカルチャーは、「答えを探し続ける、という答え。」とした。

 

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新しい企業ロゴ

【関連】アダストリア、新企業ロゴを導入

 

 アダストリアという社名自体は、まだ歴史が浅い。13年にアダストリアホールディングスが誕生し、持ち株会社制へ移行。その後、15年3月にグループの事業会社であるポイント、トリニティアーツと統合し、持ち株会社制を解消したのち、15年6月に現社名になった。 

 新しい一つの社風を作ろうとしているアダストリア。企業ブランディングのクリエイティブプロデューサーとして、空間クリエイティブなどを行うジェイ・ティー・キュー(東京)代表の谷川じゅんじ氏を起用しており、今後、本格的な企業ブランディングを推進。

 「アダストリアの店だから行ってみよう、出店してほしい、あるいは入社したい」といった魅力あるイメージを作り上げていく。17年には東京オフィスの移転も予定しており、分散していたオフィスも一つになる。

 

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福田三千男会長(左)と谷川じゅんじ氏

【関連】アダストリア、CPに谷川じゅんじ氏

 同社は今まさに、グローバル市場で勝つための仕組み作りや、新たな成長を期待する分野への投資・実験を行っている最中だ。そのいくつかは形となって17年以降、我々業界に披露されるだろう。


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