アダストリア、新会社で高感度セレクト業態を開発

2017/03/08 15:03 更新


 アダストリアは、3月1日に設立した新会社エレメントルールで、大人の女性に向けた高感度な都市型セレクトショップに挑戦する。マス向けのカジュアル市場などを得意としてきたアダストリアにとっては新市場の開拓だ。

 大手セレクトショップ出身者を迎え、外部のノウハウも積極的に活用する。出店は早くて18年春で、2ブランドを立ち上げる。多ブランド化など事業を広げ、8年後に売上高500億円の企業に成長させる。

 現在、30~40代中心の女性向けのセレクトショップを構想している。客単価は2万~4万円程度で、都市部の商業施設や路面へ出店する。可処分所得の多い大人層は、服への考え方やライフスタイルも変化しており、提案の余地があるとみる。ブランドの詳細は今後詰めていく。

 新会社はアダストリアの100%出資で、代表取締役社長は元ベイクルーズ取締役の小松﨑睦氏、取締役副社長は木村治アダストリア常務取締役が務める。クリエイティブ面では、元ベイクルーズグループの伊藤栄敏取締役を軸に、社外のメンバーを集めてチームを作り、多様な感性でブランド開発に取り組む。

 セレクトショップの市場自体は閉塞感もあるが、「こういう時代だからこそ、チャンスだと思う」と小松﨑氏。各社が競合他社を意識しすぎた結果が今の同質化を招いた面もあるとし、社名のエレメントルールには、「必要なものをこだわりをもって提供し、価値創造する」(伊藤氏)という思いを込めた。

 アダストリアは、カジュアルやライフスタイルの業態を多く抱え、SCなどで大きな存在感を発揮する一方、百貨店やセレクトショップなどの高価格市場はほとんど手を付けられていなかった。木村氏も、「市場的にはレッドオーシャンだが、アダストリアにとってはブルーオーシャン」と強調する。

 ただし、以前にセレクトショップに挑戦・撤退した教訓も踏まえ、自社の既存の成功体験とは異なるビジネスモデルが必要と考えている。このため、一部署ではなく別会社にすることで、独自の仕組みを構築する。

 出店は、高感度・高単価な業態のため1ブランド20店前後までをイメージ。500億円の企業規模を目指すにあたり、多ブランド化、メンズの取り扱い、M&A(企業の合併・買収)、海外ブランドの誘致なども視野に入れている。

新会社エレメントルールは、大手セレクトショップ出身者も迎えた(左から伊藤氏、小松﨑氏、木村氏)
新会社エレメントルールは、大手セレクトショップ出身者も迎えた(左から伊藤氏、小松﨑氏、木村氏)


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