コムデギャルソンが東京でショー 表と裏、見えないものと見えるもので描くエレガンス

2021/01/29 06:30 更新


 デジタル配信がメインとなった21~22年秋冬欧州メンズコレクションだが、フィジカルのショーができる状況にある日本では、相次いでリアルのファッションショーが開かれている。屋外での開催や招待客を限定しながら、服の持つ力を伝える努力が続いている。

(小笠原拓郎)

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 コムデギャルソン・オムプリュスはこのほど、東京本社でフィジカルのショーを開いた。暗闇の中に照らされるスポットライト、そこにモノクロをメインにしたスタイルが浮かび上がる。秋冬は、インサイドアウトとレイヤードを組み合わせたようなスタイルを見せた。表地と裏地のボリュームを変え、長い裏地がレイヤードのように表地から垂れ下がり、時にアシンメトリーに裏地が揺れる。インサイドアウトで着るコートの裏地はトロピカルフラワーなどの鮮やかな柄で、それが重ね着のようにも見えてくる。表地と比べてたっぶりと布の量をとった裏地のコートは、その間に体を入れることで、裏地がインナーのようになって体にまとわりつく。表地と裏地の間に体を入れるというアイデアは、この間、「ビューティフルピープル」の熊切秀典が手掛けているデザインとも共通するもの。ただし、今回のコムデギャルソンは、裏が表になり、裏地がレイヤードにも重ね着のようにもなり、時にインナーになるという考え方。裏地と表地の分量の変化やインサイドアウトとアシンメトリーの組み合わせなど、デザインを複雑にミックスしている。そして表地でもあり裏地にもなるラメツイードやハウンドトゥースの素材感がものすごく上質で、それがプロダクトの強さにつながっている。

 終盤に見せた縮絨(しゅくじゅう)のコートのインサイドアウトは、おそらく94年の縮絨のコレクションの考え方を発展させたもの。ウールと裏地の素材の縮絨率の違いを計算して、縮絨ウールの縮む分量に対してたっぷりな裏地を生かしてエレガンスを生み出した。テーマは「ダークルーム」。「クリエイションは視覚のみならず、六つの感覚すべてが重要な働きをする。暗闇の中にこそ立ち上がる」と川久保玲。

コムデギャルソン・オムプリュス
コムデギャルソン・オムプリュス
コムデギャルソン・オムプリュス

 コムデギャルソンに続いて、ジュンヤ・ワタナベ・コムデギャルソン・マンもフィジカルのショーを行った。ノルディックセーター、ケーブルニット、フェアアイル、様々なニットがキルティングコートのボディーにアップリケされる。キルティングコートのボディーにもニットが重ねられ、そこにトグルボタンを付けてダッフルコートに仕立てられる。ボディーにアップリケされるのはニットだけではない。コーデュロイのGジャンやフライトジャケットが身頃の一部にくっつけられる。合わせるパンツはスリムかゆったりしたクロップト。新しいトラッドを模索したコレクション。

ジュンヤ・ワタナベ・コムデギャルソン・マン


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