大阪・心斎橋のアメリカ村にある古着・セレクトショップ「11747391」。様々な年代の古着と新進気鋭のインポートブランドを集めた品揃えが、20~30代の個性的なファッション好きや未来を担う若手デザイナーから絶大な支持を得ている。若者が感性を磨きに来る店として、関西の服飾専門学校生の作品を販売する支援も行っている。
(松本寧音)
雑居ビルの古着屋が原点
11年に古着屋としてスタート。ブランド名はポケットベルで〝アメ村〟を指す数字の暗号が由来で、アメ村を象徴する三角公園の近くの雑居ビル4階で長らく店を構えてきた。知る人ぞ知る名店ではあったが、22年9月にメインストリートともいえる御堂筋寄りの場所に移転。路面店に近いたたずまいでビルの2、3階に拡大オープンした。
新品を扱うようになったのは17年ごろ。当時、古着と新品のインポートブランドをミックスして提案していた店は少なく、「既成概念にとらわれない新しい価値を提供する狙い」(石黒龍治店長)でこの業態にかじを切った。
基本的には全てユニセックス。古着は年代を問わず「今の気分に合うもの」を欧米で買い付け、新品は新進気鋭の人気どころやまだあまり知られていないようなインポートブランドを中心に扱う。現在は「ザンダー・ゾウ」「チャールズ・ジェフリー・ラバーボーイ」「ヴァケラ」「ジャックムス」などの人気が高い。
移転と同時に始めたのが、学生の作品を販売する取り組みだ。これまでに大阪文化服装学院やマロニエファッションデザイン専門学校、バンタンデザイン研究所などと連携。学生の作品を販売したところ、「知らずに訪れた客が物の良さで購入していく」など好評だった。「今後は関西だけでなく、日本全国の学校に取り組みを広げていきたい」という。
癖のあるアイテムを日常に
商品一つひとつの品揃えはもちろん、インスタグラムに投稿しているスタッフのスタイリングのファンも多い。癖のあるモードなアイテムを街で着こなすヒントになるよう、各ブランドのルック写真とは異なるアクティブなイメージでスタイリングを組み、発信している。なるべく明るい色を使い、キャッチーでハッピーなムードを演出するのがこだわりだ。
同店の魅力はそれだけではない。設計事務所のダイケイミルズが手掛けたアートを感じさせる内装も、この店を象徴する要素の一つ。ベースの空間を生かしたインダストリアルなムードで、大きい宝石のような木のオブジェを配したテラスが特徴的だ。
「大阪に来たらここ」と言われるような、ファッション好き御用達の店を目指す。